表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/1235

67話


睨み付けるエルザを見張り台の上に残し、リリーナは翼を広げて滑空していく。

その背中を見ながら


「何が『後は任せろ』だ。ったく…結局、どうするか言わずに戻りやがった」


胸の前で組んでた腕を解くと、両腰に手を当てて『はぁ〜』っと深いため息をつく。

どうせ回復薬を飲ませてハイ終わりって所だろ…っと思った時点ではたと気づく。


『回復薬を飲ませる→相棒の意識が無い→しょうがないな〜→何とか飲ませるには…』


「あんの鳥女ぁー!!」


リリーナが何をしようとしているか気付くと、見張り台の縁に足を掛け、一気に飛び降りようとする。

目指すは玉座の間、そのバルコニー。


しかし、今日のエルザには運が無かった。

彼女が飛び降りようと足に力を入れた瞬間、グラリと足元が揺れる。

結果


「あっ?!」


斜めに飛ぶハズだった体は目標を大きく逸れ、テラスの横六十センチの空中を落ちて行く。


高さ十メートル以上ある空間を落ちて行くエルザ。

ただし、彼女は頑丈さで有名な有角族、ここ程度の高さでは、余程のヘマをしない限り掠り傷一つしないとだけ言っておく。




〜〜〜〜〜

同時刻玉座の間、座席部分に寝っ転がるユウキの側で、正座をしながらモジモジしているリリーナの姿があった。

リリーナの膝下には、青色の細長いガラスビンが五本置いてある。


細長いガラスビン、科学の実験等で使用する試験管だ。

口元部分はコルク栓で封しており、内容物が溢れる心配は無い。


試験管の中身は原色青色の液体だ。

これは、彼女達の世界での回復薬だ。


ゲーム的に言うと、青い液体の回復薬は魔力回復薬、所謂MP回復薬と呼ばれるヤツだ。

この青色が濃ければ濃い程効果が高まる。


リリーナの持って来たそれは、彼女の世界でも上位の魔力回復薬だった。

ただし、これにも問題がある。


キング·オブ·キングオンラインと言うゲームでは、当然ながら回復薬の需要は高い。

ただしそれは体力回復、ゲーム的にはHP回復薬と呼ばれるモノが主流だ。


実際、このゲーム内では、プレイヤー間の戦いにおいて、魔力よりも体力の残高の方が重要になる。

魔力が余って居る魔法使いが多数居ようとも、その魔法使いの体力が一撃死する程度であれば怖くも無い。


範囲攻撃一つで纏めて倒す事も出来るからだ。

その逆に、体力の高い戦士が波状攻撃してこようものなら、迎撃も難しくなる。


そのせいかこの回復薬も、体力回復の方は性能が良く、回復量も多いが、魔力の回復に薬を使う者は少ない傾向にある。

勿論、まったく無い訳ではないが、この考え方は、ゲーム内の住人達も同じ傾向にあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ