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5話

「殲滅速度が全体的に上がったか…」


ふぅ〜っとため息を付くと、画面中央のクリスタルをクリックする。

大画面に切り替わり、戦況状況が映し出される。


ついさっきまでは、こちらの召喚するゴブリンが指定位置に配備される方が早かったのだが、今では配備が終わる前に相手方の戦士達に切り払われてしまっている。


「くそ、占領前段階に入った」


画面上には、今戦闘状態だった城壁に、黄色い光の魔法陣が点滅しだす。

この点滅は、相手側有利な状態で、一定期間過ぎると出てくるエフェクトだ。

このエフェクトが青に変わると『占領状態』となり、相手側のいるマップが領土となる。

そうなると、今現在展開している召喚モンスター達が一時的に消え去り、周囲にある別マップへと追い出されてしまう。

こうなると、今度はコチラが進行しなければならなくなり、とても面倒くさい事になる。

相手領土に進行するにはプレイヤーが直接部隊を引率しなければならない。

うまり、ユウキ自身が移動しなければならなくなる訳だ。


「いや、レベル10の生産職がノコノコ戦場に行く訳いかないだろ!!」


どう考えても、マップ移動した瞬間、相手側の集中攻撃を受ける未来しか見えない。


今回、攻めて来ている彼らは半年しかしていないプレイヤーだが、それでも平均レベルが50だ。

どうにも分が悪い。


一応、身を守ってくれる強いNPCは十三人いる。

今、自分のキャラの左右にいる二人が、NPCでは最高レベルにまで上げているキャラだ。


『有翼族』と呼ばれる魔法にも武器使用にもたけている種族。

『有角族』と呼ばれる体力と力に優れた純粋な戦士の種族。


他にも、古代エルダーエルフや古代エルダードワーフ、龍人族等色々な種族特性をもったキャラを作っている。

全員、NPC最高の二百から二百五十レベルだ。

彼ら彼女らを繰り出せば、一気に押し返す事は出来るのだが…


「本陣にいる俺がやられれば終了って、詰みだろこれ?」


十三人の高レベルNPCに守られていたとしても、一発も食らわずに居る事は無理だ。

守り手側が攻め手側の出現位置を指定出来るとなれば『どう考えても出待ちしてますタコ殴りです対戦ありがとうございますクソッタレ〜』となる未来しか見えない。


「ダメかぁ〜」


大きなため息を一つ付くと、チラリと時計を見る。

まだ領地防衛戦が始まって十分しかたっていない。

数少ない仲間達に送ったメールへの返事も無い。

運営への返答も来ない。


「ははっ、無い無い尽くしかぁ〜」


つい愚痴った言葉に合わせたかの様に画面向こうでは、ついに黄色い点滅が消え青い魔法陣が現れる。


そして、大きな文字で『占領』が表示され、こちらの配備していたゴブリン達が消えていく。

すぐ隣に隣接するマップに移動したのだろう。


この海マップは、六十四×六十四の小マップが隣り合わせで構成されている。

今表示座れている所は一番外周部に当たるマップで、外壁を中心に地面半分海半分で構成されている。

隣接するマップは三つだが、内一つは全面海になっている。

そうなると、残り二つの陸地の部分か城壁上に、ゴブリン達が再召喚される事となる。

この再召喚、完全ランダムの為、城壁では無く城壁外側の陸地に配置されれば、戦力にならない。


「それに、ここからどっち方面に進行するかでコッチの戦略も変わるんだが…」


画面上では、攻め手のプレイヤー達が、回復魔法や回復薬を使って体勢を整えている様だった。

残り時間は四十五分、このままでは最大五マップを占領されてしまう。


正直、それはさせたくない。

今、たった一マップ取られただけでも腹立たしいのに…


オマケに、コッチが見ている事を知ってて煽るかの様に『ダンスモーション』を行っているキャラがいる。


「………」


無意識の内に、画面左下にあるコマンド類から、特殊コマンドを選択していた。

その中でも一番最後に並んでいる文字をクリックする。


そこに書いてある文字は『崩壊』。

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