56話
「終わったぁ〜」
寝っ転がったまま手足を投げ出してため息をつくユウキ。
最後の裂け目が閉じてマップが一つの大陸になると、なんと言うか…達成感がある。
あれだ、頑張って並べたドミノみたいな感じ?
まぁ、ここからドミノ倒すように大陸をバラバラにしたりはしないけど…。
それにしても、本来の機能であれば減るハズのポイントが一切減っていない件について。
うむむ…実は減ってないように見えて減ってる…って事は無いかぁ〜。
数字はバグっていない為読む事は出来るのだが、普通の文字が読めないのは痛い。
『何か重大な見落としをしてるような気がするけど…』
そんな事を考えてるユウキだったが、落ち着いてくると次の事を考える、っと言うか、どうしてもやっておきたい事があった。
「よし、次は外壁の再生だ」
「はい?」
そう呟いたユウキの言葉に疑問符を付けて返答するリリーナ。
外壁と言うと…
「えっと…大陸全土を覆っていたあの巨大な壁…と言う事でしょうか?」
「あぁ、そうあの壁。やっぱ防御力は必要だし」
あっけらかんと言い放つユウキに恐る恐る聞き返すリリーナだったが、嘗ての防御壁を考えれば一応納得はする。
微妙に嫌な思い出もあったが…あの失敗を繰り返さなければ良いだけで。
グッと拳を握りしめ決意を改めるリリーナを放置しながらも、ユウキはマップをクリックしていく。
『亀裂の修復の時と同じ感じだな。でも、こっちも文字化けしてるのかぁ〜、まいったな。何て書いてあるのか分からないのは』
全体マップを見ると、所々で文字化けを起こしていた。
完全に読める部分と文字化け一色、さらに両方混ざっていたりと、何とも乱雑とでも言う感じだ。
しかし…
『ふふん、伊達に壁設置しまくった訳じゃないんだ。何のコマンドだかは目を瞑ってても分かる…はず…多分…きっと…メイビー』
徐々に思考内のトーンが下がってくるが、それも仕方がない。
ゲーム内でのコマンドと、若干違う所があるせいで、『本当に大丈夫か?』と自分でも疑問に思ってしまっているからだ。
本来なら『どの城壁ですか』の選択肢の後『何処に設置しますか、設定して下さい』と来て『このマップに設置します、よろしいですか?』の後に『YES (名声ポイント○使います)·NO』と出ていたのに、最初の城壁選択と設置場所設定はそのまま、マップの項目が完全に文字化けし、更に『YES· NO』の前に文字化け選択が入っている。
いやこれ、選択か?注意事項っぽく見えるが…分からん。
よく見れば、『YES』の後ろにあったポイント表示も無くなっている。
『ヤバい…嫌な予感しかしない』
そのままジッとマップとのにらめっこをしていたが、それこそ時間の無駄と諦め、意を決して『YES』に触れる。
後になって思えば、ここでの選択は悪手だったのかもしれない。




