53話
その辺り、『殴り合い宇宙』と書くと、まるで何処ぞの『白〜い悪魔』と『赤〜い水せ〜』の戦い的な、有名三部作映画のタイトルになりそうな事を、それとなしに聞いてみた、すると…
「脳筋組は眠らせると一発で倒せます」
との、有り難いようなそうでないようなお言葉を貰えた。
…まぁ、血みどろの殴り合いじゃなかったのでヨシとしよう…うん。
イメージ的な話で。
そんな予想外の序列の決め方に驚きながらも考える。
『これ、この浮遊大陸の連中って、多分俺よりも強いんじゃない?下手したら下剋上?』
っと言う考えに至った。
序列を決めるのに力づく、しかも、それをやった連中の能力値やレベル、スキル構成も自分は知っている状態。
下手に『見せてみろ、お前の力をさ〜』なんて、ヒロシボイスで言われた日には、晴れのち曇り、ところにより血の雨が振りまくるでしょうって事になりかねない。
しかも、その雨は俺からのセルフってね〜HAHAHA〜って、やかましいわー!!
「はぁ〜」
「ま、マスター?」
いかんいかん、つい盛大にため息をついてしまった。
人前でため息を吐くなんて失礼な話だ、反省。
「いや、リリーナ達に戦いを挑まれたら俺、あっさり殺られるなぁ〜って思って」
などと正直に話たら
「そんな事はありません、マスターは強く、賢く、カッコイイ方ですから」
っと、鼻息荒く返された、ひぇぇ〜いったい何事?!
ってか、そこまで強くも賢くも無い、カッコイイ?何処が?今の俺は小学二年生だぞ?子供だぞ?しかもジャージだぞ?
「それに、私達はマスターをお守りする事はあっても、殴りかかるような無作法はしません」
「お、おう」
なんだろう、想像以上の好感度に半分ビビってます。
まぁ、本当に殴りかかってくるかはさて置き、現状把握は早めにやっとかないと不味い、それと…
そう言うとユウキは、ゴロリと玉座の座席部分に寝転がる。
次にやる事は決まっている。
浮遊大陸の破れ目の修正と外壁の修復。
今いる世界に魔素が無くても、何かしらの外敵がいる可能性もある。
もしかしたら、魔素を必要としない魔法のような現象とか魔物とか居るかもしれない。
更に、俺の居た世界のような、科学技術が発達した世界かもしれない。
まぁ、言い出したら切りが無いけど、やれるだけの防衛手段は取っておかないと。
攻められた後で平和を唱えても、攻めて来る連中にとっては、何の意味も無いのが現実だから。
「話し合いでケリの付く世界なんて、物語の中だけだしなぁ〜」
なんとも自虐的な事を発っしてしまい、ついつい苦笑いをしてしまうユウキだった。




