52話
ユウキはこの八年間、全てのスキル上げを実行していた。
結果から行くと、武器や防具、アイテムの作製スキルはMAXの百まで上げ、その他の剣や槍等の戦士系スキルは七十前後、魔法スキルと回復スキルは六十前後まで上げている。
ホント、ここまで上げるのに八年掛かるとは予想外。
普通に専門職を選べば、それぞれ一年もせずにMAXまで到達する事が出来るのに…っと、僅かながら愚痴ってしまう所だ。
実際、見習い作製者の職のお陰か、武器防具とアイテム作製スキルは、一年経たずに上げる事が出来たのだが、戦士系スキルと魔法使い系スキル上げはマゾかった。
ひと月に0.1パーセントしか上がらなかった時など、半分気が狂いそうだった程だ。
そのマゾさから、戦士系と魔法使い系、回復系のスキル上げは、MAXまで上げる事を諦めた程だ。
そして、気がオカシくなりそうな事がもう一つ、ここまで上げた魔法使い系と回復系スキルだが、結局必要な能力値が足りず、下位の魔法しか使えない事が判明。
…いいもん、下位の魔法しか使えないケド、威力だけはそこそこあるしコンチクショーめー!!
〜〜〜〜〜
さて、長くなったが、能力値やレベルを数字で表していくと、ユウキはリリーナに全く敵わない程弱い。
武器を使った攻撃も、魔法を使った攻撃も、全てがリリーナに通用しない。
そこで一つ疑問が出来た。
「リリーナに聞きたい事があるんだけど」
「はい、何でしょうマスター?」
「各NPC…えっと、各将軍達の強さとかって、どうやって判断しているのかな?例えば、リリーナは七将軍筆頭となってたけど、それはどうやって決めたのかな〜って?」
ゲーム内では、自軍の十三将軍、リリーナ率いる生産系のNPC『北斗の七将』と、武闘派系NPCの『南斗の五将』が居たりする。
名称が、ちょっと中二病なのは部屋の隅にでも置いといて、ユウキとしては、ゲーム内で存在していたレベルで上下関係的な扱いをしていた。
それが現実になったこの状態では、どうなっているのか気になる所だったのだが…。
「筆頭の決め方ですか?勿論、全員参加の殴り合いです」
「…」
やべぇ、予想以上に脳筋仕様だった件。
しかもリリーナって、筆頭になっていると言う事は…全員と殴り合って勝ったって事?
うっわぁ〜、見た目『清楚な女性』が、殴り合いで勝つ姿なんて…ダメだ、想像付かない。
生産職のNPCとは言うものの、古代ドワーフや龍人なとの力と体力のあるキャラも居たハズなのに…。
ハッ!?つまりリリーナは、それら脳筋組に殴り合いで勝ったと?!




