47話
「…殺せ」
「ま、マスター?」
今の俺は、オークの前に居る女騎士の如く、虚ろな目をして『くっころ』している事でしょう。
あ、『くっ』が入ってない、やり直し。
などと、妙な事を考えていたユウキ。
何しろ、妻に似た女性(羽有り)の前で、盛大な黒歴史発動させたのだから。
「…人生のやり直しを要求する」
もはや、やり直しをしたくなる程の状況、さすかのリリーナも困惑顔だ。
「マスター??」
何度目かの呼び掛けに、ノロノロと体の向きを変える。
黒歴史暴露後は、リリーナに背を向けて遠い目をして現実逃避していたのだが、いつまでもこのままにしておく訳にもいかない。
ちなみに、リリーナに何時、玉座の間入って来たのか聞いた所、「マスターが周囲を見回した後、何やら呟いた辺りです」と言われた。
最初っからやーん?!
更にダメージ追加した瞬間だった。
「あの、大丈夫ですよマスター。ステータスと叫ばれてたようですが、何か必要な事だったのですよね?ならば問題ありません」
いや、問題しかなかったよ君!!しかも意味分かってないようだし、これどういう事?
そう思ったユウキがリリーナと(イヤイヤながらも)すり合わせをしていくと、トンデモナイ事が分かった。
まず一つ、ステータスの概念が無い。
ステータスとは何ぞやとの話から始まって、そのキャラ、この場合リリーナだが、力が○○で素早さが○○、魔力が○○でと言われても、言われたリリーナにしてみれば、『お前は何を言っているんだ?』と言わんばかりの表情だった。
つまり、ステータスという値で人を表すと言う概念が無い。
これには逆に驚いた。
少なくとも、ゲーム内ではステータスと言うモノが存在していたハズなのだが、そこの住人でもあったリリーナが『知らない』と言う。
そこから考えるに、ステータスと言うモノが、ゲームをするプレイヤーのみの設定なのか、あるいは現実世界になった事で、リリーナ達は適用外になったのか、そんな所だろうか?
他にも色々ありそうだが、どちらにしても、今のリリーナにステータスと言う言葉は、意味無いモノになる。
つまり
「俺の黒歴史は隠蔽可能?!」
「はい?」
「あ、いや、何でもないですよ、はい」
折角誤魔化せそうな状態で、わざわざ尻尾を出す必要も無し。
…っと言う訳で、リリーナには『すまない、異邦人達にしか無い概念が何処まで影響するか調べていたんだ』などとのたまっておいた。
『もしかすると、君達に何らかの影響が出るかもしれないから』と言うと、とても良い笑顔で『流石マスター、そこまで私達の事をお考えに』と言われてしまった。
やべぇ、別の意味で胃が痛くなってきたよ。




