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44話


「はぁ、死ぬかと思った」


ぜぇぜぇと荒い息を吐きながら、疲れ切ったユウキが、大の字で寝っ転がっていた。

さっきまでいた下位の精霊達は、中位の精霊たちが全員連れて出て行った。


正確に言うと『怒りのリリーナ』に追い出されてた。

疲れてたので傍目にチョロっとしか見てないが、なんだか掃き掃除する感じで追い立てて、宮殿の窓から放り出していた。


中位の精霊達は文句言ってたが、下位の精霊達は楽しそうだった。

なんか『きゃっきゃ』と笑ってた。


やべぇ、精霊やべぇ、語彙力無くなるくらいやべぇよ。


それでも疲れ果ててたユウキは、ゴロリと転がったままだ。

いつの間にか側に来ていたリリーナに膝枕されていたが…。


『あ〜アレだ、思い出した。親戚の家で出会った子犬達があんな感じだった。十匹くらい居て、オレが部屋に入った瞬間足元まとわり付いて来たんだった。いきなりだったので後ろに倒れたら、顔から足先まで子犬まみれにされたんだっけ?小学校一年だったから、恐怖で半泣きになったなぁ〜』


リリーナの膝枕プラス額ナデナデでリラックスしながら過去の自分を思い出していたユウキだったが、今の状態に気が付き飛び起きるまで後九分。



〜〜〜〜〜


「で、精霊達は帰っていったのかな?」


顔を真っ赤にしたユウキが、胡座をかいた状態でリリーナに質問する。

リリーナ曰く、ユウキが倒れている間に色々取り決めをしたそうだ。


なんでも精霊は、契約者から魔力を譲り受け体を維持しているらしい。

この場合ユウキになる。

ただ存在するだけなら、空気中に漂う魔素で何とかなるのだが、今いる世界は魔素が無い世界、この浮遊大陸は魔素があるが、ここから離れると、一月程で体内の魔力を使い切ってしまうらしい。


その事に気が付いた中位の精霊達が、どうしようかと悩んでいた所に、ユウキが召喚したものだからこれ幸いとやって来たとの事。


「つまり、契約出来たのでサヨウナラって事?」

「そんな、マスターが損になるような事はさせません」


ニッコリと深い笑みを見せるリリーナはとても怖かったです (まる)


精霊達には今まで通り、その目と耳をフル活用して貰おうと言う事になったらしい。


「フル活用?」

「はい、本来であれば、指揮所にあったクリスタルに情報を送ってもらうのですが、今現在クリスタルがありません。なので、直接私に連絡するよう命じておきました」


え、それ大丈夫?さっきまで取っ組み合いしてた仲なのに?


「問題ありません。マスターの為だと言ったら素直に聞きましたので」


素直なんだ…その割には俺、もみくちゃにされたんだが…。


「次は無いと釘を刺しておきました、大丈夫です」


やべぇ、すっごく良い笑顔で恐ろしい事言ってるよ。

一番怖いのはリリーナだったと言う話。

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