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32話


『う〜ん、やっぱりポイントを使用するって方法なのかぁ〜』


玉座の座席部分に仰向けで寝転がり、『むむむ〜っ』と唸り声を上げるユウキ。


右手人差し指を顔の前に上げて、ヒョコヒョコと左右に動かし、何かを押すような仕草をする、すると、伸ばした指先が薄っすら白く輝く。

目を閉じたままのユウキは、光っている事すら知らないまま、何かを確信したように『うん』と頷き、また人差し指を動かす。


そんなユウキの姿を 直ぐ側に座り込んだリリーナがジッと見ている。


相変わらずの聖母姿に見えるがよく見ると、僅かに頬が紅くなっており、微妙に鼻息も荒くなっていた。

知ってる人が見れば不審者と思われそうだが今、この場に『人』は居ない為、完全に気の緩んだ姿のリリーナがそこに居た。


今のユウキが何をしているのかと言うと、やっと操作方法を習得したので、それを実践している所だった。


コチラも傍から見れば不審者っぽいのだが…。



〜〜〜〜〜

少し前の話になるが、操作方法がユウキにとってまさかの方法だった。


『マウス操作じゃなくて画面タッチだったかぁ〜』


スマホと同じ画面に指でタッチする仕様だったとは思いもせず、仰向けのまま五分近くも悩む事になっていた。


『おかしい、予想だとこの状態なら操作出来るハズだったのに』


と、思いながらも頭の中で何度も『マウス操作』をしていたのだが、眉間の間が痒くなり、人差し指を顔の前に出した瞬間だった。

瞼の裏に映し出されていたマップ上に、半透明の手が生えて来たのだった。

いきなりの事に思わず目を開けると、半透明の手があった場所に、自分の手が、全く同じ形を持って存在していた。


ジッとそれを見た後、瞼を閉じ集中する。

すると、やはり映し出されたマップの上に、半透明の自分の手が表示されていた。


『これって…まさか?』


震える指をマップの上に持って行くと軽くタッチする。

勿論イメージ上での事なので、指先に触れる感覚は無かったが、触れた部分に色が付き、マップ上に表示される。


『はっ…はは…マジかぁ〜コレって…』


この浮遊大陸の元は、キング·オブ·キングオンラインと言う古いPCゲームが元だ。

当然、操作方法はマウスによるクリックだ。

だが、ユウキは思い出した。


別に『何処ぞの巨大な人』に支配されてた事を思い出した訳では無い…ゲーム内でコラボクエストはあったが、それは別として。

二年前にゲーム内で大型アプデがあり、操作方法に画面タッチシステムが追加された事を思い出した。


携帯のように画面に触れるシステムを追加し、操作の利便性を上げるとか何とか運営側が言っていたが、ユウキ自身は、どうにも慣れなかったので、そのままマウス操作を続行していたのだった。


その為、完全にど忘れしてしまい、今に至ると言う訳だ。


『こんな…簡単な方法に気付かなかったなんて…』


操作方法に悩んだ十分間だったが、実質はその半分、五分は落ち込んだ事によるフリーズ状態が原因だった。


ちなみにユウキのパソコンは、当時出たばかりのタッチパネル搭載型だった為、アプデ後に試してみたのだが…それまでの六年間のクセが抜けず、無意味とかしていたのだった。

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