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31話

そんな状態の中、リリーナはゆっくりと玉座の上に降りていく。

あと一メートルと言う所で「とう」と言う掛け声と共にユウキが飛び降りる。

「あっ?!」とリリーナの声が聞こえるが、そのまま着地…と思いきや、ユウキの体が斜め前部と弾かれる。


「うっひゃぁ〜?!」

「マスター!!」


何ともマヌケな悲鳴をあげるユウキだったが、クルクルと体を回転させながら飛び跳ねる。


「すっげぇ弾力、まるでトランポリンだ」


やけに楽しそうな声が聞こえてくる。

その余裕ある状態を見て、リリーナは手を出す事を止め、その場に着地する。


十分後、堪能したユウキが顔を真っ赤にしながらリリーナの元へと戻って来る。

ついテンションが上がってしまったが、普段の自分であれば、ここまで騒ぐはずも無かった…っと思っていた。


「くっ、身体に精神が引っ張られるとはこの事か」


などと言ってみるが、何やら微笑ましい顔をするリリーナに、ついつい顔を背けてしまうユウキ。


「コホン、取り敢えず試すには十分な場所だな」

「…」

「リリーナ、そんな顔でコッチを見るな」


聖母のような笑顔とでも付けられそうな顔をユウキに向けるリリーナに、ついつい我慢出来ずに注意を促す。

それで態度が変わる訳でもないのだが…。


改めてフカフカの座席部分に胡座をかいて座る。

自分の考えが正しければ、さっきの感覚からしてココで合っているハズなのだから。


そう考えてその場でゴロリと寝転がるユウキ。

背中を付けて仰向けになると、目を閉じて集中する。

リリーナからの視線が気になるが、敢えて無視する。


頭、背中、腰、尻、そして足と意識を集中させていく。

それぞれの部位に、ピリピリとした感覚がする。

そして、さっきまで見ていた全体マップが頭の中に浮かび上がって来る。

それだけではない。


『おぉう、やっぱりそうか』


体全体を玉座に付けた事で、全体マップだけではなく、各種コマンドまでハッキリと表示された事に、ユウキの心は心底喜んでいた。


後日、この巨大な玉座が邪魔だと思い、普通の大きさの玉座 (それでもニメートル近くはあるのだが)に変更した所、背中とオシリさえ付いていれば全て表示されると知り、三日程気落ちする事になるのだが、それはまた別の話。




〜〜〜〜〜

今のユウキの頭の中には、ゲーム内でよく見た画面が映し出されていた。

日本列島を上から見た全体マップに左右に表示されているコマンド類、右上にはご丁寧に日付と時間まで出ていた。

ただし、ここで表示されている日付に関しては、ゲーム内での日付だ。

アルテミア大陸歴と横に出ているその日付は、あの日、ゲーム内での領土戦をした日から二日後になっていた。


『まぁ、日付に関してはいいや。問題なのはコッチ』


そう考えて画面上を見る。

そこには何やら数字の列が並んでいる。

左側から『金貨』『ポイント』『有料ポイント』の各残高の表示だ。

金貨は、アイテム等の購入に使う物だから問題は無い。

問題なのは後ろ二つ、ポイントと有料ポイントだ。


ポイントは、ゲーム内でのクエストクリア時に貰える代物で、これを貯める事で、様々なアイテムと交換出来る。

さらに、敵対勢力と戦う時のNPC召喚にも使用出来るモノだ。

最後の有料ポイントは、ノーマルのポイントと同じで、各種アイテムとの交換や召喚に使用できる。

ノーマルとの違いは、特殊アイテムや特別衣装など、ここでしか手に入らないモノがあると言う事だ。


そして問題なのはここからだ。

ノーマルの『ポイント』と『有料ポイント』の二つが何やらバグっていた。

見た事の無い数字になっている。

強いて言うなら、漢数字のような文字と言うべきだろうか?あれの崩し文字のような表示となっていた。


『やべぇ、これだと何ポイントあるのか分からねぇ』


正直、記憶の中にある数字だと、ノーマルのポイントで六十万前後、課金ポイントが十一万前後だったと思うのだが…この謎数字のせいで不安感しか無い。


『このポイントで割れた大地の修復出来るのかな?』


ユウキの心配事はそれ一色になっていた。

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