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29話


「う〜ん、コレを元に戻すってどうやって?」


頭の中に浮かぶ地図をジッと見る、何の変化も無い。

『う〜ん』と唸り声を上げながら地図にイメージを注ぐ。


こういう場合のお約束、手で触れるイメージを送ってみる…が、まったく反応しない。


さらに、ゲームの全体マップに似ている事から、マウスクリックをイメージしてみる。

具体的には、右手にマウスを持っていると想像しながら矢印キーを画面に表示するイメージだ。


まぁ、これもダメだったのだが。


『何でだよ?!こういうお約束だとイメージ重視ってヤツだろ?動け動け動いてよぉ〜』


っと、某紫色の有名人造な人型決戦兵器を動かす気弱な中学生の男の子をイメージするが、これもまたダメ。


『う〜ん、この場合「動けよこのポンコツが」ってやった方が良かったかな?』


などと筋肉ムキムキな元兵隊と、明後日の方向へと『全速前進だぁ〜』っと進む若い社長をイメージしながら考えていた。


当然、頭の中のマップは分断されたまま時間だけ過ぎていく。


「ダメだぁ〜」


オデコを付けながら体は斜め四十五度にピーンと伸ばし、何処ぞの歌う骸骨が初期にやってたネタのような格好で黄昏るユウキ。


その後方では、何時倒れても支えられるようにと両手を胸の前で構えているリリーナが、ハラハラとした顔をしながら立っている。


この若い体は、思ったより軽く丈夫なようだ。

斜めの姿勢になっていてもバランスが取れ、その状態のまま、まるで棒を立て掛けているかのような姿勢になっている。

多少、斜め過ぎる気がするが。


そんな状態のまま、オデコを中心に体を右へ左へと揺らす。

オデコとつま先を軸としてユラユラと揺れるさまは、焼き鳥の串を反転させてるようにも見えた。


本人に言えば『食い物扱いすんな』と文句を言いそうだが。


そんな状態で『むむむ〜』っと唸り声を上げていると、勢いが付き過ぎたのか、体が九十度程回転する。


「おっとっと〜」


そのまま軸がズレた事により倒れそうになった姿勢を直そうと右手を目の前の壁に付け、更に勢いを付けて体を捻る。

玉座の足元、壁のようなその部分に、さっきまでとは逆の姿勢、オデコでは無く後頭部を付けた状態で

グルリと百八十度回転する。


両手を出した状態のリリーナの前で、玉座に背を向けたユウキが、ズリズリズリと音を立てて座り込む。


「はぁ〜焦ったぁ〜」

「マスター…」


背中と後頭部を付けた状態で呟くユウキに、少々非難めいた眼差しを向けるリリーナ。

あの程度で倒れたとしても、擦り傷程度の怪我すらしないだろうが、それでも『ユウキの側近』を自認しているリリーナにしてみれば、気が気でない。


万が一もあり得ると、思わずジト目をしてしまう。

肝心のユウキが目を瞑ってしまった為、気付かれる事は無いのだが…。


そんなユウキが突如目を開け、驚きの表情をしていた。


「マスター?」

「…分かった、コレか」


そう言うといきなり立ち、玉座を下から見上げる。

目線は、高い位置にある座席部分へと注がれていた。


「リリーナ」

「は、はい?」

「あそこだ、あの位置まで俺を連れて行ってくれ」


そう言うと、座席部分を指差しながら、興奮した口調で命じてくる。

先程までとは違い何かしらの確信のある言葉だった。

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