297話
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そんなニアキスとの会話も無事終わり、夕飯を食べて『さあ、後は風呂入って寝るだけだ〜』っと、気の抜けた感覚でいたユウキだったが、何故か寝室で正座させられて居た。
「いや、なんでさ?!」
「『何で』ではありませんマスター」
目の前には仁王立ちのリリーナ。
その後ろでは、ニヤニヤ笑うエルザの姿があった。
アクスレビオとイシゴリドの二人は、呆れた顔をしながら、それぞれの部屋に戻って行った。
いやホント、何で?!俺、何も悪い事してないよ?
「何故勝手に人間と交渉をしたのですか?」
「ん?交渉?人間ってニアキスの事?」
「そうです、その通りです」
胸の前で腕を組みつつ頬を膨らませているリリーナだが、なんて言うか…うん、本人には悪いけど、迫力が足りない。
ってか、そんなに腕を持ち上げると、最終兵器的なお胸様が強調されて…いや、何でもないです、はい。
「何故、勝手に会われたのですか?それも私達の居ない間に」
「いやほら、タイミングが悪かっただけだし、それ程重要な案件って訳でも無かったから」
「いいえマスター、この場合、まずは詰問から始まり、相手の目的をしっかり聞いた上で、コチラにとって都合の良い時間指定をしなければなりません」
「お、おう…」
リリーナの中のスイッチが入ったのか、『浮遊大陸の王』としての立ち振る舞いなるモノをこんこんと説明された。
いや、そんな大袈裟な…などと言おうモノなら、その何倍もの言葉が返ってくる地獄。
誰…カ…助…ケテ…。
足元の絨毯がフワフワ過ぎたお陰で、足の痺れ等は無かったが、精神的攻めにユウキのライフはゼロ状態。
しかもよく聞くと、何故かニアキスとした会話を全部把握されている状態。
いや待って、何で知ってるのさ君?!
まさか精霊?精霊を部屋の中に放っていた…とか?でも、そんなのは視界の何処にも見当たらなかったような?
「私の手の者が教えてくれました」
「よし、謎が更に増えた!!」
あの場に居たのはエルフが四人に獣人のメイドが二人、部屋の外、出入り口の扉の前にドワーフが二人。
これらとは別に、ベランダの外にも数人のドワーフ達が配置されていたらしい。
この中であり得そうな者と言えばエルフか獣人なのだが…あの場でエルフ達が一切反応しなかった事から獣人?
「………そのような事はどうでも良いのです」
うわコイツ、露骨に話題を逸した。
なるほど、情報元は獣人のメイドだったか…。
あの場に居た獣人と言えば、一人は犬族で、名前は確か…コリーだったかな?
その名の通り、コリー犬顔の獣人だ。
コリー犬のコリーとはこれ如何に…。




