282話
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夕方、スキルと魔法の件で、リリーナにめちゃくちゃ怒られた。
何でも、平らにしていた平地部分をデコボコにした事がダメだったらしい。
いや、外出するって言ったし、スキルとか魔法とかの練習するって言った時何も言わなかったやん?
今更何故?!
「あそこまでされるとは思ってもみなかったので」
「…………ですよねぇ」
まあ、その気持ちは分かる。
地面には深さ数センチ長さ数メートルの刀傷が残り、草原には巨大な焼跡、更にすり鉢状に抉れた地面とくれば、そうなるよな〜。
ゲ○ドーポーズを取りながら、机の上にため息を落とすリリーナ。
まあ、原因の俺が言うのも何だが、ため息付くと運気が逃げてくぞ?
勿論、そんな余計な事は言わず、お口チャック。
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翌日、ついに黒い城へと帰る事となった。
リリーナ曰く…
「捕虜返還に向けて、後は返答を待つだけですし、その後も日付や時間指定などを決めるだけですから、マスターは居城へとお帰り下さい」
との事。
なら、エルザと共に帰るのかと思っていたら…
「あ〜、アタシも暫くコッチに居る事になるからねぇ〜。帰るのは相棒とドワーフ、エルフの一部だねぇ〜。あと、メイド達」
話を聞いて驚いた。
この手の話があれば、どっちかが『一緒に』と騒ぎ立てるハズが。
「なんだい、アタシが一緒じゃなくて寂しいのかい?」
「いや、ついに独り立ちしたんだな〜っと思って感動してた」
「相棒、アンタはどの立場で言ってるんだい?」
いや〜、ついつい何か保護者目線になっちまったよ。
そんなやり取りがあったりしたが、朝には用意されていた馬車に乗り込み、帰路の旅へと赴いた。
とは言っても、居城まで半日程、夕方までには到着するらしい。
そんなに早いのか?と疑問に思っていたら、この専用馬車と少数の騎馬隊なので可能なんだとか。
荷物やメイドさん達を乗せた馬車もあるけど?と聞いたのだが、それも問題無いらしい。
そこまで言うならと任せていたら、走り出した馬車の感覚で納得した。
この馬車、軸にスプリングを仕込んでたよ。
それも本格的なヤツ。
もしやと思って考案者を聞いてみたら案の定、異邦人だったよ。
うん…そうだろうね…知ってた。
アレだよ、この手の転生モノ…転移モノのお約束を全部潰していくスタイル。
流石運営、俺達に出来ない事をやってのける、そこに痺れ…ないし憧れ…は理解から最も遠いうんちゃらかんちゃら。
コレには有名ラスボスさん達もニッコリしやがる事でしょうコンチクショウめ。
結果、もの凄い速度と思った程揺れない馬車のお陰で、日が落ちる前には城に到着しましたとさ。
でも、街道の整備がまだのようなので、余裕が出来たらやろう…うん。




