280話
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あれから三十分、スキルの試しと魔法の試し撃ちをやってみた。
初心者用スキルの衝撃と治癒、それに下級魔法を二つ程。
ちなみに初心者用スキルと呼んでいるが、実はこれ、最初に覚えさせられる練習用スキルの為、正式な名が無く、結果、プレイヤーが勝手に名付けたスキル名だったりする。
当然、公式はこの名称を認めていない。
さて、衝撃波のスキル検証の件だが、使用条件は単純だった。
最初に構える、これ大事。
片手だろうが両手だろうが、構えを取る必要がある。
これは、瞬間的でも可能のようだ。
そして、ゲーム時と同じエフェクトを想像して刀を振るとあら不思議。
衝撃波が発生しましたとさ。
…って、『とさ』っじゃねぇよ俺!!
んん………そして意外な発見もあった。
構えは、どんな形であっても発動するようだ。
例えば、縦に構えた『蜻蛉の構え』でも、横から後へと引いた『横薙ぎの構え』でも、しっかり集中して発動するイメージを持っていれば必ず出せる。
その逆に何も考えず、衝撃波の出る状態やエフェクトを想像せずに刀を振るっても何も出ない。
しっかりと柄を持ち、エフェクトが出るイメージを強く持つと、軽く振った時点でスキルが発生する訳だ。
では、このスキルを発生させている力は何かと言うと………うん、分かりません。
いや、冗談では無く本当に。
自分では分からなかったのだが、側に立っていた獣人メイドさんが、答えを知っていた。
曰く『精神エネルギー』みたいなモノらしい。
『何それ曖昧な』と言われるかもしれないが、彼女的にはそういうモノだとか。
体の中にある『魔力以外の何か』が、スキルを発動させる元だそうで。
彼女達獣人も、その不可視な力を使って様々な技が使えるらしい。
「ユウキ様を見張っていた力もそれです」
おおう、やっぱ隠密とかその系統のスキルがあったんだ。
ってか、最早隠す気も無く『見張ってた』発言をナチュラルに聞く事になるとは………。
まあ、その件は置いといて………別ゲームであった魔力と精神力の違いみたいなモノかと推測。
そう考えれば、魔力お化けの俺が、スキルを連発して倒れる理由にもなる。
逆に考えれば、スキルを使うのに必要な力、暫定『精神力』の値が少ないとなれば、連続使用で倒れた理由にもなる…かな?
ん、つまり、ゲーム内でのクールタイムって、この精神力が回復するまでの時間だったとか?
そこで、スキルを発動後、即魔法を使ってみた。
魔法に関しても、イメージをしっかり持てば発動する事が分かった。
ただ、エルフ達の使った魔法よりド派手な結果になったが……それはまあ置いといて。
軽く刀を振り、衝撃波を出し体勢のまま、刃先に魔力を送り込みイメージ。
間髪入れず火の玉が飛び出し地面に着弾、凄まじい炎の渦が天へと伸びた。
一瞬唖然としたが、直に頭を振ってかき消す。
体の調子を見れば、スキルを連続で使った時よりも疲労感は無し。
やはり、魔法とスキル使用には、別々の力が使われているようだ。
まあ、この辺は、もう少し数をこなして要検討だろう。




