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271話



〜〜〜〜〜

同日同時間、東の大国マーティーン神聖王国でも、玉座の間にて意見のぶつかり合いが発生していた。

とは言うものの、コチラは帝国とは違い、互いに批難し合うような非合理的なモノでは無い。


寧ろ、王と聖騎士団、神殿から法凰と神殿騎士団と、神聖王国の関係者が一同に集まっていた。

内容は、今回の出兵の不始末…などでは無く、神聖王国側を攻撃してきたであろう『角の生えた女』に関しての事だ。


当初、王国側には、聖騎士団の団長と生存者五十人からの報告が上がっていた。

その為、それを聞いた国王が、消耗した戦力に対しての今後をどうするか、それを中心として話し合っていた。


聖騎士団内の一部では、『騎士団長の責任問題』を追求してきたが、今ここで団長を退任させたとしても何の解決にもならないとし、今回の件に関しては不問としていた。

さすがにそれだけで済ますには問題があった為、団長本人に数日間の謹慎処分を下していた。


そうした行動中、珍しい事に神殿側から王宮へと接触があった。

『重要な案件がある』と。


今まで、王国側から神殿へと接触する事はあったがその逆は無かった。

だからこそ、一体どんな事があったのか?また神からの神託でもあったのか?など、様々な憶測が飛び交っていた。


そして三日前、王宮へと来た法凰からの言葉は、神聖王国へ大きな衝撃を与えた。

それが『角の生えた女』であった。


元々は、神殿へと帰還した神殿騎士団からの聞き取り調査によって判明した事だ。

曰く、聖騎士団五十名を素手で叩きのめしていく様は、彼ら神殿騎士団員の心を簡単にへし折る程だった…と。


聖騎士団の戦い方は、防御力に全力を注ぎ込み、反撃カウンターを決めるやり方だ。

しかし今回は、その全てが純粋な暴力で覆された。


その話を聞きながらも、神殿側は『神聖王国の全てを持って神敵の悪魔を滅ぼすべし』と言い出している。

角の生えた女を神敵と唱える法凰と神殿騎士団に、神聖王国の『ローベル王』は内心、頭を抱えていた。


全てを持って悪魔を討つと言われても、そんな事出来る訳が無い。

今回、聖騎士を五十名も失ったが、コレに関しては補充が利く。


聖騎士見習いから素質の有る者達を繰り上げれば良いのだから。

素質が足りなければ、最悪国内の衛兵から渡りの傭兵まで、色々な所から勧誘してくれば良い。


しかし、どうしても補充の利かないモノもある。

銃士だ。

現時点でこの世界最高の兵器である銃を扱える者は、そう安々と補充出来るものでは無い。


何しろ、銃は高価な上、一般人には馴染みの無い代物だからだ。


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