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268話


それと言うのも、この世界のガレオン船は、全長が四十から五十メートル程。

乗員は三百から四百人で、武装は大型の弩砲バリスタを左右に十門ずつ装備している。


最近では、銃を大型化した大砲を開発中であり、大砲が完成さえすれば全て載せ替える事になるだろう。

バレシオスの持つガレオン船は特注品であり、この世界でも一〜二を争う性能を持っている。


いや、『持っていた』と言うべきだろう。

何しろ、船体の大きさも武装も船足の速さも、全てを凌駕する船を目の前の子供が持っているのだから。


対して、浮遊大陸内にある大型船は、全長が八十メートル前後、左右に二十門の大砲が備えてある。

それでいながら、僅か百名程の乗員で操船出来ると言うのだ。


バレシオスの常識からは大きく離れている代物だ。

そんな素晴らしい代物があるのなら、どうしても欲しいと考えるのが商人だ。


バレシオスは、国を代表する者でもあるが、それと同時に商人でもある。

だからこそ、誰よりも早く、珍しい代物を手にしたい。


「どうだろう、言い値の三倍で売ってはくれないだろうか?」

「?!」


言い値の三倍と聞いて、バレシオスの後ろに控えていた者達が動揺する。

既に、バレシオスの提示している金額は、小国の国家予算並みになっていた。


それの三倍など、彼らからすればとんでもない金額だ。

だが…


「何度も言う、お断りする、と」


具体的な金額を言われてもうんと言わないユウキ。

まあ、それは仕方のない所がある。


それと言うのも、バレシオスの世界と浮遊大陸のお金の価値が違い過ぎている部分がある。




〜〜〜〜〜

まずゲーム、キング·オブ·キングオンライン内では、お金の最小値が金貨だった。

画面右上に表示されているのだが、金貨のマークの横に所持金が表示されていた。


その時点での表示額が、大凡十億枚。

これは、ユウキのような初期プレイヤーなら普通に持っている金額になる。


それが、浮遊大陸が現実化すると、ユウキの知らない通貨が出て来た。

それが銅貨と銀貨だ。


価値としては、銅貨が百円、銀貨が一万円と言う所だろう。

それぞれの間に、小銅貨、小銀貨があり、小銀貨が十円、小銀貨が千円程度の値となる。


ちなみに金貨はと言うと、一金貨十万円と言う所だ。

ユウキの居た現代社会に全てを持って行ければ、億万長者待ったなしと言った所だろう。


この辺りの金額差を調べる為、リリーナに隠れて外出していたのだが、金額差を知らずに色々買ったせいで、速攻捕まる事となってしまった。

まさか、支払いに金貨を使っただけで通報されるとは思っても見なかった。


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