262話
〜〜〜〜〜
あれから一時間と少し、真っ直ぐ西へと海を横断した事で、アッサリと港町へと到着。
その頃には、捕虜の殆どが目を覚ましていた。
そうは言っても、全員が体の何処かを負傷しており、そのまま放置する訳にもいかなかったので、一旦城へと連れて行こうかとの話になったのだが…。
「いけません、マスター。この者達は捕虜です。それに合った場所へと連れて行くべきです」
っと、リリーナが力説した為、港町の西側に立つ砦へと連れて行く事となった。
実は港町の西側には、城が建ってたりする…名古屋城が。
おーけーおーけー、言いたい事は分かるがちょっと待って欲しい。
これはゲームの仕様上の話しなんた。
〜〜〜〜〜
四年程前、キング·オブ·キングオンラインで大型コラボイベントがあり、その際『色々な国の城を手に入れよう』キャンペーンがあった。
それぞれの国別に、世界的に有名な城が登場し、ガチャを回す事で手に入るイベント。
この時、日本の城シリーズもあった為、『日本マップには日本の名城だ』と、滅多にしない課金をしてまで回した。
その結果、九州の熊本城、中四国の岡山城と今治城、関西の二条城、中部の名古屋城、関東の忍城、東北の会津若松城、北海道の松前城の八つを手に入れる事が出来た。
これらのラインナップは、それぞれの市からの協力によって選ばれた城らしい。
『知名度アップして、もっと観光客を呼び込みたい』との考えの元、歴史的資料など色々な便宜を図ってくれたそうだ。
その為、既に有名な大阪城や姫路城などは、逆に何も言ってこなかったんだとか。
その辺り、何らかのやり取りがあったとの噂話もあったのだが、今となっては闇の中。
そうして手に入れた各城をそれぞれのマップに設置。
出来る限り史実に基づいた場所に置きたかったが、どうにも難しかった為、何故か名古屋城は海の側に建ってしまった。
そもそもゲーム内では、これらの城は防御拠点として使われる為、設置出来る範囲が限られている事も問題だ。
現実世界となった今なら、本来の場所へと設置し直す事も出来るが、それをするメリットも少ない。
結局、妥協した結果が今のコレである。
ちなみに、本拠地としている黒い城よりも、この名城シリーズの方が防御力が高かったりする。
〜〜〜〜〜
「いや、コレはアレだ。外敵からの防御を考えての配置だし。本城は飾りだから偉い人には分からないし」
「何を言ってるんですかマスター?」
不思議そうな目をコッチに向けてくるリリーナ。
いやすまない、ちょっとした言い訳だよ、うん。




