261話
結局、両者合わせて百十五人もの捕虜が出来てしまった。
…いや、何でだよホント??
捕虜なんていらないよ?どうしろってんだよ君ら?!
「そう言う相棒だって連れて来ただろ?」
「ぐぬっ」
そうなのだ。
彼女達は、戦った結果の捕虜なのだが、俺の場合は違う。
外交官として連れて来てしまったのだ。
「マスター、外との外交はしないとの命令だったと思うのですが?」
「ぐぬぬっ」
そう言ってしまったのは俺だ。
うん、間違いないけど、コチラにも言い分がある訳で。
「マスターの言い分とは何なのでしょうか?」
「当然、アタシらよりも立派な理由があるんだよな?」
うう…リリーナは兎も角、エルザのヤツ、やけに強気で出てきやがる。
もしかして、理由無く雰囲気でってバレてるのか?それとも他に何か…。
「ですが、マスターのお連れした人物は、私の知る限り、かなりの大物です」
「そ、そうなのか?」
いや、これにはビックリ。
まさか、リリーナ的大物とは思わなかった。
リリーナ曰く、南方にある大きな国の代表の一人らしい。
…それって偉いの?
「代表の一人って事は、他にも何人かいるって事なのでは?」
そう聞いたのだが、代表の一人ではあっても、その権力はトップクラスらしい。
彼を人質にすれば、かなりの譲歩を得る程だとか。
…それって逆に考えると、かなりの地雷になるのでは?
「そうですね。あの人間が死ぬだけで内戦が勃発する程度には重要かと」
やっぱ地雷じゃないですかぁヤダ〜。
今からでもクーリングオフを…
「ですがマスター、よく考えて下さい。今の状況、コチラにとって有利です」
「…具体的には?」
「南側の国からの侵攻を押さえ込む事が出来ます。そうすれば後は、北と東に集中するのみです」
なるほど、あのバレシオスと名乗る人物がいる間は、コチラへの侵攻を止める事が出来る…と。
「それに、他の二国に対しても手はあります。今回得た捕虜を使いましょう」
何だろう…リリーナのやる事がエグいと言うか…黒いモノが見え隠れしてますよ?
ほら見ろ、エルザなんてドン引きしてるじゃねぇか。
「問題ありません。攻めて来た連中が悪いのです。『正義はコチラに有り』ですよ」
うわ〜、リリーナの満面の笑みが、とても邪悪…ゲフンゲフン、悪そうに見えて来ます。
ちょっとエルザ、君の同僚だろ?早く止めろよ?
そう目線で合図したのだが…
「なるほど、その手があったか」
あっれれぇ〜おっかしいぞ〜俺の知らない所で納得されている。
オマケにいつの間にか、正座から車座になって、これからの外交戦略を話す場へとなっていたよ。
…なんでさ?!




