255話
エルフ達がドヤ顔をコッチに向けてくるので、片手を上げて称えておく。
うん、コッチの想像以上だったし、それ以上の結果を出したようなモノなので、そこは褒めておく。
問題なのはこれから、
下位の魔法でさえこの威力なのだ。そうなると中位…いや、上位の魔法を使えばどうなるか…考えたくもない。
本来、下位の魔法は通常の四元素、『火』『水』『風』『土』、そして応用に当たる『氷』と『雷』、更に特殊な『光』と『闇』がある。
それぞれの下位魔法は、そのまま火の塊を投げて目標にぶつけてダメージを与えるようなイメージだ。
その時のダメージ量の計算方法は、ただの火や水であれば、単体ダメージが大体『一〜二』程度。
それに使用した個人の魔力値がプラスされた数値が、そのまま相手へのダメージとなる。
これらの魔法は、初心者の魔法使い用と言える魔法になる。
魔力で形作っているだけだからだ。
そこに形状変化を入れる事で、ダメージ量や特殊な効果などを上げる事が出来るようになる。
例えば、各下位の魔法の形状変化には、『玉』『矢』『槍』の三つが存在する。
それぞれに利点、欠点がある。
火の魔法を火玉に形状変化させて目標に撃つと、目標を中心として周囲にダメージを与える事が可能になり、疑似的な範囲魔法になる。
その代わり、単体に対するダメージ量が分散する欠点がある。
目標に対して六割のダメージを与えられるが、周囲には残り四割を人数分に分散したダメージを与える事になる。
この範囲に敵が居なくても、ダメージ量六割は変わらないのも欠点だ。
更に、範囲も中位の範囲魔法に比べて狭く、かなりの密集地帯にならない限り使う事の無い魔法だ。
火矢に変化させると、魔法の発動速度や発射速度アップが出来るようになる。
しかし、全体的速度が上がる事で、単体ダメージ量は素の数値、百パーセントとなる。
欠点としては、使い易い代わりに、これと言った特徴が無いと言う所だろうか。
平均的なダメージ量の為、いまいち火力が足りないような気にさせてしまう魔法になる。
火槍に変化させると、単体に対するダメージ量を大幅にアップさせれるようになる。
火矢に比べて、百四十パーセントものダメージ量を叩き出せる為、魔法に弱い相手であれば、これだけで瀕死に追い込む事も出来る。
しかし、高いダメージ量の割に命中率が低く、極端に運が低いと、三連続で外したりと散々な目に合う事も。
補助魔法で命中率を上げないと、そのままでは使いづらい魔法となる。
今回使用したのは、火矢の魔法だったそうだ。
レンウェ曰く、『横に居た人間に一切の被害を出さないようにするには、命中率の高い火矢が一番』だったらしい。
それであの威力とは…。




