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250話


〜〜〜〜〜

船上にてバレシオスが楽しそうにしているその時、マルコは笑顔を絶やす事無くユウキと接していた。

対するユウキは、先程から無表情で目の前の男性マルコを見ていた。


マルコの後ろに控える傭兵達、特に

隊長のハグノンなどは、額から大量の汗を流している。

ハグノンは、ユウキの謎の力を間近で見た為、余計に恐怖を感じていた。


マルコとバレシオスには、ちゃんと報告したはずなのだが、どういう訳か、マルコはそのハグノンの報告を頭から信用していなかった。

マルコの常識で考えれば、あり得ない事なのだろう。


『子供が剣で地面を割る』なんて言葉を信用するはずも無い。

だからこそマルコは、強気での発言をしていた。


人の機微を感じ取る事に長けているマルコは、ユウキが全面戦争に発展する事を避けている事に気付いていた。

世間話のようなフリをしつつ、遠回しに争い事を語ると、ピクリと小さく反応していた。


そこから導き出した答えは、コチラとの対決を避けたいとの意志。

ならば後は簡単だ。


こちらはただ、戦う意志を見せつけてやるだけだ。

そうすれば、目の前の子供はコチラに跪くと、そう考えていた…その時までは。


「断る…つまり、引く気、無いと?」

「ええ、そう言いましたよ少年」


ニッコリと笑顔を向け、ユウキを見やる。

ユウキは一つため息を吐くと、気怠そうに姿勢を崩す。


椅子の上で足を組み、ジッとマルコを睨み付ける。

その目はさっきまでとは違う、何かを決断する時の目だ。


「何故断るのか、その説明をしましょう。いいですか?我々は南の大国、都市国家同盟から来ました」


マルコは、身振り手振りで自国の素晴らしさを解く。

どれほど洗練されているのか、政治体系が優れているか、経済的発展が進んでいるか、その経済力による戦力がどれ程強大か、それはもう、ユウキがウンザリする程の力説だ。


「素晴らしい発展を遂げた我が国は、最新の技術を使い、この島へと来る為だけに、多大な労力を使った訳です。分かりますか少年?それが、どれ程の規模か。アナタのお小遣い程度ではないのですよ」


この時点で、ユウキの顔はチベットスナギツネのようになっていた。

ドワーフ達もエルフ達もチベットスナギツネを知らない為、ユウキの顔色を見てオロオロするだけだったのだが…。


「少年、君がどうしてこんな交渉事をやろうとしたのかは知りませんが、子供がやって良い事では無いのです。これが悪い大人相手なら、今頃君を含めた全員が皆殺しになっててもおかしくは無いのですから」


マルコの声色は、まるで何も知らない幼子を諭すかのように語りかける。

だが、その態度と言葉が、ユウキに火を付けてしまった。


「いいだろう、ならば戦争だ」


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