245話
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ユウキが、自身の持つスキルの使い方を確認していた所、それを見たハグノンは戦慄していた。
『な、なんだ今のは?!地面が破裂した?!いやそれよりも、さっきのアレは一体??』
ユウキが、衝撃スキルを確認して『ふむふむ』と頷く前で、ハグノンは冷や汗を流していた。
彼らにしてみれば、自分達の知らない何かで攻撃する事が出来る訳だ。
人間、理解出来ない物こそ怖い物は無い。
ハグノンだけではなく、彼の仲間達も既に尻込みしていた。
その逆に、ドワーフ達やエルフ達の戦意は向上していた。
それはそうだろう。
眼の前の人間達に、たった一太刀で恐怖を植え付けたのだから。
その事をハグノンは感覚で受け止めていた。
そして思う、『この状況は不味い』と。
チラリと後ろを振り返る。
そこにいる仲間達は、武器こそ構えているものの、その表情は暗い。
自分の仲間達でさえこの状況だ。
他の傭兵達に至っては、ジリジリと後退しだしている者達もいる。
最早、この場を維持する事も無理だ。
嫌な汗が流れたその時、眼の前の子供がコッチを見ている事に気付く。
『くっ、コイツヤル気か?!』
子供と侮った自分を呪いつつ、心の中で悪態をつく。
さっきの訳の分からない攻撃を食らったらどうなるか…そんな事を想像する…だが
「それで、お前達、引くか、戦うか、決めたか?」
出た言葉は、最初に聞いたのと似た言葉た。
今までの事など気にしてないとでも言いたげに、気だるそうな顔をコッチに向けてくる。
『くっ…こんなヤツと戦うって?冗談じゃねぇ』
頬を引き攣らせながらも最善策を考える。
命を一番に考えている傭兵であれば、ここは…
「少し時間をくれ。雇い主の意見を聞かなければならない」
「ふむ、雇い主、なるほど、いいだろう、ただし」
顎に手を当て、何かを考えついたとでも言いたげに首を縦に降ると、手に持った細い剣を太陽二向ける。
「あの太陽が、向こうの城壁に掛かるまで、待つ」
そう言って、西側の城壁上を指し示す。
つまり、あそこに日が掛かるまでの時間がタイムリミットと言う訳だ。
「分かった。感謝する」
ユウキに軽く頭を下げると、直ぐ様仲間の元へと戻っていく。
出迎えてくれた仲間達には悪いが、今は一刻を争う。
傭兵達に、この場での一時待機を命じると、一目散に船の方へと向かう。
今回、自分達を雇った雇い主が船に乗っている。
正直、国家のトップが、こんなよく分からない場所に自ら来ている事が謎なのだが…。
都市国家同盟トップ、バレシオスの元へ。




