244話
三つ目が衝撃波スキル。
先程の衝撃スキルに似た名称だが、内容は全然違う。
『どんな武器であっても、振るえば必ず衝撃波が出る』スキルだ。
このスキルのお陰で、魔法使いが長い杖を振ると、『ズババッ』と言う音と共に白いエフェクトが地面を伝って行くと言う。
神官が、小さな十字架のような物を振るって衝撃波を出す場面は、中々シュールだったりする。
この武器から衝撃波を出すスキルも、攻撃力は五〜十程度しかないが、待機時間だけは他のスキルよりも短いのが特徴だ。
これら三つのスキルは、初心者プレイヤーが操作方法を覚えたり、戦い方を習う為に存在するスキルだ。
その為、プレイヤーのレベルがどれだけ高くなろうとも、攻撃力や回復量は一切変わらない。
つまり、レベル一のプレイヤーの攻撃力とレベル百のプレイヤーな攻撃力は、このスキルのみ同じと言う事だ。
衝撃スキルのように、敵を吊り出す為など目的が無い限り、大抵のプレイヤーが使わなくなるスキルだったりする。
〜〜〜〜〜
そんな衝撃波のスキルが、何故か発生した。
勿論、ユウキが放てると思って使った訳ではない。
そもそも、『スキルを使う』と言う行動をどうやればいいか、この一月考えた程だ。
実際、ちょっとした時間にスキルを出せないか試してみたりしていたのだが…一切反応しなかった。
それが今、何の脈絡も無く使用出来た。
『待て待て、えっと…今の感覚って…こう…かな?』
軽く刀を振り下ろすが、何も出ない。
数回振ってから少し考える。
『もしかして待機時間?だったら』
ゲームの時のように、目に見える形での情報が無い為、想定で動くしかない。
待機時間だとすると、衝撃波のスキル再使用時間は、確か五分だったはずた。
体感で半分程度と思う為、ここは他のスキルを試してみる。
怪我をしている訳では無いから治癒スキルは意味が無い。
軽く指先を地面に向けて振ると、『ボン』と言う音と共に土が舞う。
どうやら衝撃スキルも使用出来たようだ。
今の感覚から、何となく使用方法が分かって来た。
実の所、スキルや魔法の使い方をエルザとリリーナに教えてもらった事があるのだが、まさかのリリーナは、『感覚で教える』派だった。
『魔法ですか?そうですね、使いたい魔法を手のひらの上に出して、えいっと投げる感じです』
いや、分かんねぇよ!!何だよ『えいっ』て?!
そもそも、手のひらの上に出すってのが分からない。
その逆に、エルザの教え方は論理的だった。
やれ『腕の角度がどうの』とか『足幅はこうしなければ』とか、型から始まるタイプらしい。
結果から言うと、自分の中でイメージを持ち、それを目標に向かって放つイメージのようだ。
『魔力を感じると言う事は、最初から出来ていたからな〜うん』
どうやら、難しく考え過ぎていたようだった、




