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241話


「そっちの代表、前へ」


人間達とドワーフ達の距離は十メートル程。

殆ど目と鼻の先だ。


その中間にユウキが一人立っている。

後ろからリーグ達が付いて来ようとしたが、それを目で制する。


どう見ても、彼らを連れて歩く事で悪い方へと進んでいるように見えたからだ。


「何かあったら進んでいい。だけど、話し合いの最中は大人しくしていてくれ」


本来したくない強めの命令を言いつけておく。

ここまでしておかないと暴走してしまうのは困った所だ。


少し待つと、眼の前の人集りの真ん中が割れて、中年の男性が出て来る。


『見た感じ、彫りの深い顔立ちは中東系っぽいかな?』


そんな事を考えつつ、油断はしない。

もしも彼らが飛び掛かって来たり、攻撃して来たりすれば、後ろのドワーフやエルフ達がどうするか…予想が付かない。


何故か『仲間の方の暴走』を気にしつつ、眼の前な男性に集中する。

一応、武器は大人バージョンの時に使っていた刀を背負い、鎧は間に合わなかったので、回避の魔法が付与されたローブを中心に、リリーナがコーディネートしてくれた代物だ。


さすがに戦闘があるかもしれない場面では、メイド服は心許ないと思ってくれたらしい。


回避のローブに微回復のマントを付けていながらも、以外と動きを阻害する事は無さそうだ。

これには、リリーナの手腕に驚かされる。


『だからこそ、先鋒を任せたんだけど…あの暴れ具合は予想外だったなぁ〜うん』


リリーナの事を考えている間にも、相手側の人間が近付いて来る。

…ってか、何処まで近付いて来る気だ?

ユウキが怪訝そうな目をした瞬間、男性が止まる。


「お前が奴らの主導者か?」


その男性がそう言う。

言い方が上から目線で気に入らないが、今はそんな細かい事を言っている場合では無い…っと、文句を飲み込む。


「そうだ。彼らは、俺の部下達」

「部下?!こんな子供の?!」


明らかに動揺しているようだが、その中には、こちらを観察しているようにも見える。


『わざとコチラを徴発しているのか、それともコレが素なのか…判断に困るな』


こんな子供の姿でも、ユウキの中身は二十代後半だ。

ついでに言うと、仕事の都合でこういった言い方や態度を取る人を多数見てきた。


だからこそ分かる。

眼の前の男性は、子供の姿に惑わされ、後ろに控えているドワーフ達を小馬鹿にしている。


まぁ、眼の前の彼らから見れば、身長が百二〜三十センチのドワーフ達は、小柄な老人の集団に見える事だろう。

とは言え、彼らの力は、人間よりも遥かに高い。


見た目で弱いと判断して、向こうから攻めて来るようであれば、それこそ全力で叩きのめさなければならなくなる。


『あ〜、こりゃ面倒だな…うん』


下手に出ず、されど高圧的に出ず、難しい塩梅を求められるユウキだった。

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