23話
「マスター?」
ガックリと肩を落とすユウキを見たリリーナだったが、ユウキの表情を見てそれ以上の言葉を飲み込む。
肩は落としているが、落胆と言う程でもない…そんな表情だ。
実際ユウキとしては、明かりくらいついてくれれば良し、その上、浮遊大陸の操作まで出来ればなお良しなんだけどな〜程度の思いだった。
中央に設置してあったハズのクリスタルが無い時点で『あっ、これ無理かも』と、半分諦めていたのだった。
「それにしても、クリスタルが壊れてしまっていると言う事は…浮遊大陸の支配権を俺は失ったって事になるのかな?」
「何故支配権が無くなるのですか?クリスタルを壊したのはマスターではないですか」
「…はい?」
指揮所に設置したクリスタルが無いと言う事は、攻め手であった者達に壊された事になる、つまりは、この浮遊大陸の持ち主が代わる…と、ユウキは思っていたのだが、リリーナによると、何故かユウキ自身がクリスタルを壊した事になっていた。
「あの時、マスターがクリスタルに触れ、光輝いたかと思ったら、床が抜けて空中に放り出されたのです。覚えてないのですか?」
リリーナの説明を聞いても、まったく身に覚えが無い事だけに、呆然とするしか無かった。
ゲームの外から関わったユウキと、ゲーム内で見ていたリリーナの間には、大きな差が出ていた。
「そうすると、この凹みも俺のせいって事?」
「いえ、この床はいつの間にかこうなっていました」
そう言って半円状に凹んだ床を指差すが、それには首を横に振るリリーナ。
つまりは、クリスタルだけが、床にあった台座ごと無くなったと言う事になる。
元の状態に戻すにしても、床の補修に台座とクリスタルの再設置、どれも一息にやれる事でもない。
「はぁ〜、こうなると、どうやってこの浮遊大陸を制御すれば良いのか分からないままだ」
ついつい愚痴ってしまうが、今の自分では、良い案が浮かばないのだからしかたがない。
そう思っていたのだが…
「玉座ではダメなのですか?」
「へっ?」
リリーナの言葉にマヌケ面を晒してしまう。
あれ?今日何度目のマヌケ面だ?
「失礼ながら、この指揮所が出来る前は、玉座で指示を出されていたと記憶していたのですが」
そう言えば、この浮遊大陸を得た初期の頃は、指揮所の設置を知らなかった為、玉座で色々指示を出していたような?
「そっか〜、じゃあ玉座の間まで」
『案内を』と続けて言おうとする前に、気が付けばまた、お姫様抱っこをされていた…いや、なんでさ?!
「お早く行きたいのですよね?」
「いやそうだけど」
「ではご案内いたします」
そう言ってスタスタと通路に向かって歩き出すリリーナ。
コッチの話を聞く振りすらないとは…恐るべし。
はい、もう諦めましたよコンチクショー!!




