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236話


そんなエルフやドワーフ達の忠誠心が、自身の知らぬ間に天元突破してるとは思ってもみないユウキは、眼下の人間達をジッと視察する。


百人程度の彼らは、それぞれ武器を片手に集まって来ている。

片手に槍を持ち、もう片手には円形の盾を持つ。


鎧は軽装備で、革の鎧をベースにしているようだ。

弓を持つ者が少なく、数人程度しか見当たらない。


「ん〜、近接戦が多いかな?」


他に何かしら変化があるとしたら、それぞれがグループ毎に集まっているように見える所だろうか。

中心部に三十人程の大きな集まりがあり、その周辺に十〜二十人の集まりが出来ているように見えた。


よく見れば、それぞれの鎧の形状が微妙に違っているようにも思える。

とは言っても、デザイン的な違いにも見えるのだが…。


「それぞれ率いる者達が違うのか?それとも、何かしらの意図がある…とか?」


上から見ていても、結局の所よく分からないとしか言えない。

ならば………


「リーグ、レンウェ、下に降りる。共を頼めるかな?」

「待て待て待て、まさかお前さんが直接行く気かの?」

「お待ち下さい主様、それは危険です!!」


ドワーフ騎士団のまとめ役…この場合騎士団長になるのかな?リーグとエルフの魔法使い…魔法師団長とでも呼ぶけど、レンウェの二人が、急に慌てだした。

いや、いきなり過ぎだとは思うが、この場合は仕方がない。


何しろ、今上陸した人間族の言葉を覚えているのは、ユウキとエルザとリリーナの三人。

他の者達には、時間が無かったので後日となった。


いや、精霊達の協力で、アッサリと覚える事は出来るのだが、それが出来るハズのリリーナが、真っ先に飛び出して行ったので無理だった。

今からでも出来ない話では無いのだが、その為には『向こうの言葉を覚えた精霊を呼び出さないといけない』訳で………。


「今の現状、彼らの言葉を覚えたのが俺だけでしょ?なら、行くしかない」

「しかしだな。あの人間共は武装しておるし、もしもの事でもあれば」


ドワーフのリーグが、しどろもどろになりながらも説得しようとしてくる。

いやこの場合、説得にすらなっていないような?


「俺以外だと話が通じないでしょ?」

「うぐっ?!でしたら、リリーナ様を使いに」

「それはダメ。ついさっきの惨状を見れば分かるでしょ。これ以上の捕虜なんていらないよ」


ここまで言えば、さすがに何も言えなくなる。

リリーナを出した場合、間違いなく彼ら人間族を叩きのめすと思う。


いやはや、有翼族の人間嫌いを侮っていた。

あそこまでやるとは思ってもみなかった訳で。


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