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217話

光っていたのは、見張りと思われる人物が持つ武器か何かではないか?そう思うジーンだ。


それと同時に考える。

見張りらしきモノが居る以上、この城壁を作った者達、或いは上位の者に連絡が行くだろう…いや、既に行っているのではないか…と。


ジーンの思考は、戦略的考えでそう結論付ける。

だが、それとは別に長年な勘が何かを告げてた、『アレはそんな生易しいモノでは無い』と。


ならばどうする?撤退?今現在の情報を持って?しかし、曖昧過ぎる。

ジーンは、城壁に近付く間、ずっと思考の渦に囚われていた。


結果、逃げるタイミングを失っていた事にすら気付けなかった。

光るソレから視線を外さす移動していた…ハズだった。


「お前達、何者?我らが地、何用か?」


光が一瞬消えたと思っていたら、いつの間にか眼の前に、白く輝く女性が立っていた。

斥候の五人組みは、全員動けずに居た。


何しろ、眼の前に居る女性は、まさしく絶世の美女と呼んでも良いくらいの女性だったからだ。


整った顔、タレ目がちの目は、コチラを見ているようで見ていない、そんな不思議な感じてがしていた。

細い体と、その体型に似合わない巨大なハルバード、出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいる、男性の理想像とでも言う姿だ。


白いドレスに銀色に輝く鎧を着込む。

そして何よりも目立つのは、その背中から伸びる純白の羽だ。


帝国の南側に位置する『神聖王国』を名乗る連中が崇拝する神とやらだと言われれば、恐らく誰もが納得するだろう、そんな存在が眼の前に立っている。

部隊内でも女好きで有名な大男のロガなどは、さっきから眼の前の女性の胸とお尻に目が行き来している。


これだけの存在を前にして自分の欲望に忠実なロガを見ると、何とも逞しいと言うべきか、愚かしいと言うべきか、悩む所だ。


そんなロガのお陰で、自身の思考停止から復帰すると、直ぐ様どう行動するべきか考える。

一番なのは、後方に居る本隊へと戻り、この現実離れした現状を連絡する事。


だが、眼の前の女性の言葉を思い出す。

彼女は何と言った?『何者?』『何用?』そう言ったか?


そこで『はっ?!』と気が付く。

眼の前の彼女は何と言った?問いを投げ掛けて来た?どうやって?言葉で?何処の?我々帝国の言葉で?どうやって知った?

いや、あの話し方からして、元から知っていた訳ではなさそうだ。


つまり彼女は………どうにかして我々の言語を知った?!


「ふむ、返答が無い。つまり、不法入国者?或いは侵略者?」

「ま、待て」


ほんの数秒程の沈黙を眼の前の女性は『敵対行為』と取ったようだ。

右手に持っていたハルバードを軽々と縦回転させると、石突部分を硬い地面へと叩きつける。


拳大の凹みを付けると、ジーン達をひと睨みし、静かに言葉を放つ。


「敵、殲滅する」

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