212話
現在ある戦力を全て投入したユウキだったが、それでも相手側の情報が少しでも欲しかった。
「戦争は数では無く情報だよアニキ」
「相棒、何言ってんだよ?ってか、誰だよアニキって?」
いや、そこはツッコミ待ちです。
何て冗談はさて置き、情報は必要だ。
リリーナがある程度の情報も集めていたが、それは『この浮遊大陸に何しに来たか』と言う理由部分についてだ。
後、船に乗っている人員数程度が判明している………らしい。
ユウキが問題視しているのは、その乗っている人員の『強さ』だ。
彼ら一人一人が、キング·オブ·キングオンラインでの中堅プレイヤー程度の強さであれば、戦略で何とか出来る。
だが、もしも上位プレイヤー並であったら、しかもそれが複数居たら、間違いなく不利になる。
この一月で、ドワーフ達もエルフ達も、そこそこの強さになった。
それでもそこそこだ。
彼らの訓練にユウキも参加したのだが、そこで感じた強さは、今のユウキより少し弱い程度だ。
ユウキのゲームキャラとしての強さは、素のレベルこそ『十』だが、ステータス値だけは『百レベル相当』ある。
つまり、ドワーフ達はレベル百あるか無いかの強さとなる。
まあ、目安程度の話になるが、この強さであれば、中堅プレイヤーと対等にやりあえる。
そこに、同じレベル帯であるエルフの魔法使い達が二百人も居る訳だ。
いくら初級魔法であっても、二百人が一斉に放てば、中堅クラスのプレイヤーには大打撃になる。
その隙を突いてドワーフ達の突撃を仕掛ければ、余程の事が無い限り負けない。
ただし、負けないだけであって勝てるかは分からない。
守りに入られて長期戦でもされれば、三方向から攻められているコチラには不利だ。
「それぞれ三つの軍が、別々に動いている今、各個撃破するしか手が無いからな」
「はん、何不安そうな顔をしてるんだい相棒。安心しなよ。ワタシらが連中を追い出してやるからよ」
「エルザ…」
やけに男らしい台詞を吐くと、右手の拳で胸をドンと叩く。
その衝撃で、ぷるんと何やら柔らかそうなモノが揺れたけど、視線は向けない…うん。
まぁ、その頼りになる言葉はさて置くとして………
「俺を下に卸してくれんかね?」
そう、今の俺は、エルザの左肩の上に担がれている訳で…しかもメイド服姿で。
服装は…もう出港してしまったから諦めるとして、せめて自分の足で立ちたいのだが?
「知ってるか相棒。世の中には『お米様抱っこ』と言うモノがあるらしい」
「………それで?」
「この担ぎ方をすると、男性達は大喜びすると聞いた」
「………だから?」
「担ぐ」
よし、色々ツッコむ所が出来たが、その話から今の俺を『お米様抱っこ』しているって訳だな?
俺は喜ばないから降ろせ!!
「え?嫌だ」
「うわ、ストレートに拒否?!」
こんな阿呆な話をエルザに教えたヤツ、後でシメる!!絶対に!!




