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204話


『いやはや、彼らは良い上客だったよ。金払いは良いし、絶対に敵対しようとしなかったし』


高レベルプレイヤー達にしてみれば、十分安いと言える値段で高品質武器、防具が手に入るのだ。

敵対する必要が無かった。


寧ろ、彼ら高レベルプレイヤー達にとって、ユウキのような生産職に引退でもされた場合のダメージの方が大きい。


まず、高い攻撃力を持つ武器を作れる職人が少ない…っと言うか、殆どいない。

更に言うと、作れる職人を確保出来ても、販売する値段が割高になる恐れがある。


高品質高火力の武器や良い防具等は、素材からして手に入り難い代物だ。

自分で素材を用意出来るようなプレイヤーであれば問題は無いが、それが出来る者などかなり少ない。


素材込みで職人にお願いすると、とんでもない値段になってしまう。

その上、高品質の武器や防具作製には、失敗もあり得る。


珍しい素材を持ち込んでも、作製に失敗すれば、最悪素材全て消滅ロストとなる事もある。

そして職人側は、それだけのデメリットを受け入れている人達にしか、武具を提供していない。


ユウキの所に来るプレイヤー達は、それらのリスクが分かった上で来ている者達だ。


「あ〜、俺がいなくなった事で、彼らがどうなっているのか…ちょっと心配だな」


自分が望んて来た訳では無いとしても、異世界に浮遊大陸ごと来てしまった為、高レベルプレイヤー達がどうなったのか気になる所でもある。

オマケに、あの不意打ち気味の宣戦布告後に救援要請を知り合いに送りまくった事で、恐らくお祭り騒ぎにはなっているだろう。


「そう言えば、ネット配信をしてる有名プレイヤーさんも居たな〜。あの人達が内容をばら撒いたりしたら…うん、ガチプレイヤー勢の行動が予想つかないな」


たらりと冷や汗を流しつつ、思考を現実に戻す。

今現在を『現実』と呼ぶべきかは悩む所だが…。


思わずブツブツと小声で呟いてしまったが、エルザもリリーナも何も言わずに黙って待っている。


「さっきのエルザの質問の答えだけど、アルテミア大陸に居た時点では大金が必要だったんだ。まぁ、その資金があったからこそ、滅多に攻め込まれるような事態にはならなかったんだ…最後のアレはカウントしないけどね」


肩を竦めてそう答える。

彼女達が現実化してしまった今であっても、運営に対し払っていた維持費の話は、恐らく理解出来ないだろう。

それらを理解してもらうには、アルテミア大陸のあった世界が『ゲームの世界』だったと証明しなければならなくなる。


いや、この時点で無理ゲーだと思う。


『実は君達の居た世界、ゲームの中の架空世界だったんだよ〜って言っても信用してくれない…よなぁ〜うん』


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