198話
精霊達によって集められた情報から、先ずは言語解析を行なった。
伝え方は簡単で、精霊達をそれぞれの大陸に送り込み、そこに住む人々の会話と光景を記憶してもらい、リリーナの元へと伝えると言う。
伝える際も言葉にする必要は無く、彼ら精霊の魔力に触れるだけで良い。
そうすると、魔力内部に記憶された情報が、自身の脳内に再生されるという寸法だ。
そのやり方を聞いたユウキなど、『魔力万能過ぎ』と騒いでいた程だ。
尤も、リリーナ達はユウキの言っている意味が分からずにいたのだが。
そうして、精霊達から集めた結果、この世界では、大凡四つの言語がある事が判明したようだった。
この世界の大陸が三つあるせいか、されぞれの大陸毎で三つの言語が主に使われている。
浮遊大陸から見て北側の大陸は、『アイルランド語』に近い言語のようだ。
特に女性の使う言葉は、優しく聞こえるらしい(ユウキ談)。
東側の大陸は、どうやら『ラテン語』に近い。
聞いていると、不思議と陽気な感じに聞こえた事とかが、そう思わせたと(ユウキ談)。
南側の大陸は、『トルコ語』が近いだろう。
日本語と同じ文法らしく、頑張れば素で覚えられそうとの事(ユウキ談)。
その他にも、どうやら共通語のような物もあるらしい。
それが四つ目の言語だったが、リリーナの報告から聞いた感じ、『英語』が近いようだった。
そうして集めた情報を元に、それぞれの国の言葉を表に書き出し、それをまた精霊に見せる。
今度は中位の精霊達の出番だ。
中位の精霊達が、その情報をしっかりと確認すると、リリーナが持って来た果物に、それぞれが魔力を注ぎ込むという行動をしだす。
不思議に思ったユウキが、「それは何をやっている?」と聞いた所、リリーナからは「翻訳の為の魔導具作成をしているんですよ」との返答だった。
当然ながら、ユウキにとっては初耳の話だ。
少なくとも、ゲーム内でそんなアイテムがあった試しが無かった…ハズなのだが、リリーナによると
「異邦人達が、自分達とコミュニケーションを取る為に開発したのですよ」
と返されてしまった。
もうこの時点で『まさか?!』と思っていたのだが…
「最初に訪れた異邦人達が伝えた技術ですけど?」
との事。
やはり運営、貴様らか!!
実はリリーナ達もその当時は、それぞれの種族毎に言語が違ったらしく、互いの意思疎通に難儀していたそうだ。
そこに現れた異邦人達が、それぞれの言語を魔力に変換し、果物経由で各種族に伝達する方法を作った事で、種族間の言葉の壁を無くしたんだとか。
すげぇな運営…っと思っていたのだか、よくよく思い出してみれば、キング·オブ·キングオンラインをスタートした際、最初に出るオープニングムービーに、登場キャラ達がリンゴの様な果物を食べているシーンから始まっていたような気がしていた。
あ〜、アレってこの世界の言語を覚えるって言う布石だったんだな〜っと理解するユウキだった。




