191話
最後にイレギュラーがあったが、後始末をエルザ達に任せると、リリーナと共に帰路についた。
帰りに関しては、これと言った問題は無かった。
敢えて上げるとしたら…
「我らが王よ、このジャン、無事のご帰還を案じておりました」
行きに会った猫の獣人が、満面の笑みで迎え入れてくれた事だろう。
いやもう…何て言うか…行きより人増えてない?
全員獣人だけど、増えてない?
「住民皆、王の帰りを待っていたのです」
いや待て!!どうしてそうなった?!
「是非、一目お目にかかりたいと皆申しております」
「ご苦労警備隊長、何か問題事はありましたか?」
「いえ、何一つとしてございません。平和そのものですリリーナ様」
うわ〜お、俺の事置いてきぼり?っと、遠い目をしたユウキは心の中で呟いていた。
行きと違い、ドワーフとエルフの数が三分の一にまで減っていた事に、ジャンが疑問を持っていたが、不法占拠されていた地域に置いてきたと簡潔に説明した事で、アッサリと頷いていた。
「それでは、我々警備隊から護衛の兵を出しましょう」
とまで言い出す始末。
いや、君らの役目はココの警備でしょうが!!
さすがに、リリーナも『それには及ばない』と言い、彼ら見送りの元、城への道を進んで行く。
その際、こちらに従うと言った獣人達を彼らに引き渡し、その世話もお願いしておいた。
彼らに関しては、コチラ側の獣人達の各代表が話し合いを行い、それぞれの地域に分けて住んでもらう事になるらしい。
ついでに、それぞれで出来る仕事の斡旋も行う事になるそうだ。
その言葉に多少安心したユウキ。
何しろ、最後の最後まで獣人族の子供達に睨まれていたから居心地が悪くて…。
「一言言ってくだされば、あの者達を教育してきますが?」
「いや何を?!」
もうすぐ城に到着すると言うのに、リリーナが恐ろしい事を言ってる件について。
何だか聖母のようや微笑みを浮かべながら教育って…絶対違うよね?教育って言葉が違う響きになってない?
「マスターに対してあの態度。例え子供であっても矯正しなければなりません」
「しなくていい!!しなくていいからね?!」
やるなよ?フリじゃないからな?押すなよ押すなよ的な話じゃないからな?絶対にだぞ!!
それをやって良いのは、お笑い芸人さん達だけだからね?君はお笑い芸人じゃないからね?
徹底的に念押しした所、渋々といった感じで引き下がったが…これ、一歩間違ってたら、あの獣人の子供達にトラウマ植え付けてたかも…。
結論、リリーナには注意が必要。




