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189話

ガリガリと音を立てて頭を掻くエルザだったが、眼の前で土下座する青年に顔を上げるように伝える。

少々威圧感を与えながらだが…。


「ひぃ?!あ、あの…何かご不満でしょうか?」

「はぁ…そんなんじゃねぇから安心しなよ」


努めて重くならないように話しかける。

『やっぱ、こういう事はリリーナの方が適任だよな〜』っと思いながらも、出来るだけ優しく聞こえるように話し掛ける。


とは言うものの、内容は簡単だ。


今回の襲撃に関しては、隣で転がっている『獅子達が中心人物』であり、他の獣人は『脅されて参加した』事になる…っと。

情報を盗もうとした事は確かだが、結局役に立たなかった事で『今回』はお咎めなし。

今後については、コチラに従う気がある者達は、西の獣人族達に預けて様子を見る。

従わない者達と獅子の獣人達は、全員この地から追い出す事となる。


死罪にでもなるのかと思ってもいた獣人達は、一斉に喜びの顔となる。

逆に獅子の獣人達と、未だ彼らに付き従うつもりの獣人達は、批難の声を上げる。


「文句があるなら今一度やり合うかい?」


エルザがそう言うと、批難の声がピタリと止まる。

エルザの強さは、噂でしか聞いた事が無い者達だが、今眼の前で威圧感を出している姿を見れば、その噂話を嘘だとは言い切れない。


気の弱い者達など、ペタリと尻尾を下げて震えている程だ。


「文句は無えようだな?だったらさっさと荷物をまとめて出て行きな。お前らはワタシ達に負けたんだからな」


そう言うと、側に控えていたドワーフ達に合図を送り、体中の縄を解いてやる。

手足の状態を確認すると、恨みがましい目を向けながら、それぞれが自身の家へと向かって行く。


勿論、彼らの村の中にはドワーフ達が配備されており、変な動きをすれば直ぐ様制圧出来るようにしてある。

四方にある見張り台の上には、それぞれ二人ずつエルフが立っており、弓を構えて待っている。


ここから逆転の動きをするとは思えないが、それでも無いとは言い切れない為、獅子達が去るまで警戒を強めている。


一時間もしない内に、彼らは荷物を両手いっぱいに持ち、東側の出入り口から去って行く。

この城から東側には森が多い。

恐らくその辺りを目指して落ち延びる気なのだろう。


そんな彼らを見るエルザの目は哀れみの色を、リリーナの目はあざけりの色を出している。


エルザもリリーナも、これから彼らがどうなるか知っている。

恐らく、一人も生きていられないだろう事も。


この先東側の森には、とある理由から獣人達は住んでいない。


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