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18話

「そんな状態の俺をマスターだと思ったのか?」


それは素朴な疑問だった。

俺は、この世界…いや、この世界じゃない別世界、この浮遊大陸での出来事がゲームの中での事だと思っていた、そう認識していた。

なのに、目の前にいる彼女、有翼族のリリーナは、ゲームの中での物語ではなく、リアルな世界『現実』として認識している。


「俺から見たら空想世界だけど、コッチから見れば現実かぁ」


思わず呟いた声はリリーナには聞こえなかったようだ。


「目の前で崩れられた時は焦りましたが、その後に掴んだ手は間違いなくマスターでした」


そう言いながらキラキラした目でコッチを見てくるリリーナ。

だから、何でそんな目でコッチを見るの?何処からそんな信頼が生まれるの?不思議でたまらない。


そんなユウキの心情などつゆ知らず、リリーナは通路を進んで行く。

その移動の間、向こうの世界、所謂ゲームの世界で何があったのかをリリーナ視点で聞く事が出来た。


「なるほど、異邦人達いきなりが攻めて来た、そして浮遊大陸が崩壊した…と」

「はい、あの恥知らずの異邦人達は、マスターから武具を購入すると言いながら内部に入り込み攻めて来たのです。いくさの心得も知らぬ者達です」

「…」


いやはや、垂れ目でお淑やかな見た目のリリーナから戦の心得なんて言葉を聞くとは思わなかった。

眉間にシワを寄せて怒っているけど…イマイチ迫力が…いや、何でもないです、コッチ見ないで下さい。

ってか


「いつまで抱っこしている気だ?」

「え?目的地に到着するまでですが?」

「…そう」


カツコツとリズミカルな靴音を立てながら歩くリリーナ、その即答についつい頭を押さえてしまう俺。

心の中では『違う、そうじゃない』とツッコミを入れてしまったが口には出さない。


それにしても、ここまで『お互いの認識のズレ』があるとは思ってもみなかった。


リリーナの認識では異邦人、俺らのようなプレイヤー達は、この浮遊大陸にやって来て、武器や防具、ポーションなどを『直接』購入していくお客様だった訳だ。

それが、購入しに来た振りをしつつ攻めて来たとの認識になっている。


いやいや、ゲームやってたコッチからすれば、武器や防具は各プレイヤーさん達からメールや掲示板で作製依頼が来て、期日や購入数を確認してから『送り届ける』方法だったハズだったんだが…って聞いたら「そんな話は聞いた事ありません」って真顔で返された…解せぬ。

攻めて来た時の状態も違うし、一体どうなっているのやら…。


あんまり深堀すると『コイツ、マスターじゃないんじゃ?』って疑われる可能性があるから沈黙。


浮遊大陸の崩壊も、何故か攻めてきた異邦人達のせいになっている。


「…そうなの?」

「はい、あの卑怯な異邦人達の仕業に間違いありません」


その根拠は何処にあるのかと小一時間。

いや、俺が君の眼の前で崩壊させたやん?見てたやん?なんで覚えてないん?


「マスターがそのような事するハズがありません」


あ、ダメだこれ、忠誠心ってヤツがアレやコレやで拗れてMAX状態。


それよりも、歩くの早過ぎない?競歩の選手かってくらい早い気がするけど?君ら有翼族って歩くの苦手だから飛んで移動するって設定じゃなかったっけ?って疑問を遠回しにブツケてみたら


「普段から歩いています。常時飛ぶなんて非常識な事はしません」


って返された。

あれれ?ゲーム内設定が迷子中?むしろ俺の脳内が迷走中です。

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