17話
『あの異邦人達が攻めて来たせいで…』
「ギリッ」と歯噛みする音と共に、折角ユウキと出会った頃の楽しい思い出が台無しになった。
突然攻めて来た事で、対処が後手に回ってしまった。
今思い返しても腹立たしい。
この浮遊大陸を守る十三人の将、その一人である自分が何も出来ず、浮遊大陸の一部を占領されるまで行ってしまった。
『あの時、もっと別の方法があったのでは…自身が先頭に立ち、あの異邦人達を倒すべきではなかったのか』そう思うと悔しい気持ちになる。
そんな事を考えていた時だった。
「えっと、リリーナ…さん?ちょっといいかな…いいですか?」
そう言ってユウキが近付いて来た。
さっきまでとは違い、少しオドオドしているようにも見える。
『何故敬語?しかも急に?私に何か落ち度でもあったのかしら?』
そう思っていると、此方の顔色を伺うようなユウキの目線に『もしかしてさっきまでの顔を見られたの?』っと、恥ずかしくなる。
どんな顔をを見られたのか、こんなに態度が変わる程、変な顔をしていたのかしらと思ってしまう。
取り敢えず…
「マスター、私に敬語は不要です。何時もように…先程までのように接して頂ければ良いかと」
「先程って?」
「私の事はリリーナと呼び捨てでお願いします。そうでなければ今後が大変な事になります」
そう言うと、何とも不思議そうな顔を見せてくれます。
…なんでしょう、さっきから一喜一憂とでも言うのでしょうか?絶えず変化する表情に、心の奥から何とも言えない気持ちが湧き上がります。
これは一体…何でしょう?
『その気持ち、正しく愛』
何か変な声が聞こえた気がしますが…今は関係ない事です、はい。
そんな事よりマスターです、さっきから何かを待っています、カワイイ…ゲフンゲフン、お話をお聞きしないといけません。
「何かございましたか?」
「う、うん、実は…」
驚きでした。
マスター、指揮所への行き方が分からないそうです。
何度も行き来した場所のハズなのですが…これも体の変化のせいでしょうか?分かりかねます。
「では、私がご案内いたします。それでは失礼して」
「はぁ?ちょっと!!」
マスターの体をそっと持ち上げます
、軽い体です、やはり前とは違うのですね…全てはあの異邦人達のせい…っと、また意識が持って行かれそうになりました。
マスターを横抱きにしながら通路を奥へと進みます。
目的地は玉座の間の下の階、マスターが『指揮所』と呼ぶ場所。
〜〜〜〜〜
今日、何度目の驚きだろう。
目覚めれば子供の姿になり、周りを見ればゲームで見た景色、そして今は…『お姫様抱っこ』されて運ばれる俺、いやなんでさ?!
百歩譲って子供姿と景色は分かる、いや、そこも疑問の種なんだが、まだ分かる、アレだよ異世界転移ってヤツだよ、うん、でも…それと俺がお姫様抱っこは違くない?ねぇ、違くない?だから降ろしてくれない?え、ダメ?何で?場所が遠い?いやでも自分の足で歩く…え、遅い?すまん、分かった…うん。
まぁ、無くなるのは俺のプライドだけで…うん、そうだね、問題無いね。
そんな悶々とした心の葛藤等は知らんとばかりに、やけに嬉しそうなリリーナを横目に、さてどうしたものかと考え込むユウキ。
「そう言えば、リリーナは俺の体の事は何か知ってる?気が付いたら縮んでたんだけど」
ふと気になった事を聞いてみた。
その答えは予想外だったけど…。
「縮んでました」
「…はい?」
「私の目の前で縮んでました」
リリーナ曰く、崩壊する浮遊大陸と共に落下していた俺を見つけ、破片をすり抜けて手を伸ばして捕まえたそうだ。
『何故そんな危険な事?』って聞いたら
「マスターを助けるのに理由が必要ですか?」
っと真顔で返された…ちょっ、顔近い近いから!!心臓に悪い。
そうして俺を助けた所…
「体が砕けた?」
「はい。そう表現するしかありません」
そう返されてしまった。
空中で体がバラバラに砕け散り、その後に、まるで内部から吐き出されたかのように感じで俺が現れたそうだ。




