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178話

エルザの指示の元、馬車から降りたドワーフ達が、自分の体の二倍はある大きさの盾を掲げて、隊列先頭で横並びになる。

前列のドワーフ達の後ろには、弓を構えたエルフ達が、一列になってドワーフ達と同じように横並びになる。


昨日今日で騎士となったにしては、意外と様になっている。

真ん中を人ひとり分だけ間を開け、そこにはエルザが腕を組んで仁王立ちになる。


後ろ側には、馬車を斜めに止め、その周りに馬達を繋ぎ止めて壁にする。

リリーナ曰く、『もしかしたら、彼らが抜け道のようなモノを使って後ろに出てくるかもしれない』からだとか。


なるほど、どんな相手であっても、対峙する時は色々と考えなければいけないんだな〜っと関心するユウキ。

コチラの陣形が完成して暫くしてから、木の壁の一部が音を立てて動き出す。


どうやら、壁に偽装した門だったようだ。


外側に開いたと同時に、内部から武装した一団が出て来る。

剣と革鎧で武装した獣人達は、門から出て直に横に並び、コチラに向かって威嚇をしてくる。


いや、思ってたよりも迫力が無い…ような?


「鼠に鹿、猿に牛…どうやら彼らは、獅子以外の者達ですね」


リリーナが冷めた目で、目の前で威嚇する者達の種族を言い当てていく。

彼らの位置からユウキの所まで百メートルと言う所だろうか、よく見えるものだな〜っと関心する。


目を凝らして見て見ると、彼らの顔がうっすらと見えてくる。

彼らは兜を付けていないので、顔を見ればなんとなく判別出来る。


…っと言うか


「全員、獣寄り?」

「はいマスター、その通りです」


いやビックリ、見える顔が動物の顔そのままで…。

そっかぁ〜、獣寄りのキャラって、現実になるとこう見えるのか〜。


リアルな動物の顔が、直立で二足歩行をしていると言うのは、何て言うか…シュールの一言。

もう少しこう…デフォルメって言うのかな?可愛い感じになっていれば…ねぇ。


リアルな鼠顔が、コッチをジッと見ているのは、ちょっと嫌悪感が…。

うん、時間があったら各獣人族を生で見よう、そして慣れよう、うん。


何とも呑気な事を考えるユウキ。


互いに威嚇しながら…威嚇しているのは獣人族だけだが…先頭に立つエルザが『さて、どうしたものか』と思案していると、獣人族の後ろか悲鳴と鈍い音が聞こえてくる。

『ゴツッ』と言う音と共に、獣人族の壁が左右に崩れて開いて行く。


それに気付いたエルザが視線を向けていると、先頭に居た獣人が、前へと蹴り出される。


『王の前を塞いでんじゃねえカスが!!』


そう言って出て来たのは、左側半分が欠けたたてがみを持つ獅子の大男だった。

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