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172話


さて、ここまで色々とリリーナから話を聞いてきたんだが、どうしても腑に落ちない事がある。

それは、話の端々に出て来る『厄介者』が、全て『獅子』だと言う事だ。




〜〜〜〜〜

実際ゲーム内でも、獅子の獣人は普通の住人型NPCであっても、会話が面倒だった思い出がある。


この住人型NPCとは、街中に立っているモブキャラの事だ。

その手のゲームをやった事がある人であれば、見かけた事はあるだろう。


街のあちこちに『立っている』だけのキャラ達。

道の端に立っていたり、あるいは店舗の間に立っていたりする。


クエスト関係のキャラであれば会話が出来るが、それ以外の場合は、近付いても何も出来ない。

とあるゲームでは、近付いてもスルッと体がすり抜ける仕様もある。


キング·オブ·キングオンラインの場合は、領地内の住人数によって表示数が変わってくる。


例えば、二十人規模の村の場合、村の中には二〜三人しか立っておらず、畑の中に十人程が何かしらの行動を取っていたりする。

町の場合、千人程の規模であれば、道の所々に数人が集まっていたりする。


それが一万人規模になると、街中の色々な所が人で溢れかえり、商店街等は、店先が隠れる程立っていたりする。

尤も、店先が隠れているような場所は、プレイヤーとは関係ない施設だったりするのだが。


つまり住人型NPCとは、自身の領地の発展具合を分かりやすく表示する為の代物でしかなかった。


そんな住人達だが、クエスト関連であれば会話が成立する。

その際、必要アイテムがあったり、何かしらの条件クリアが必須だったりするのだが、獣人系はこの条件が面倒だったりする。


『何々で困っている獣人族を助けろ』とか『何処何処に居る獣人族にアイテムを渡せ』と言った内容が多い。

それによって、各獣人族の親密度的な隠れステータスが上がり下がりする。


ユウキの場合、戦闘用のNPCとして獣人族を三人雇った関係で、この三種族との仲が良かったりする。

その三種族が、『狼』と『狐』と『獅子』だ。


そのおかげで、獣人族との会話でのストレスが無いのは有り難かった。

獣人族のNPCと会話をすると、初っ端から罵倒されたりする。


これは、運営側で獣人族の台詞担当したスタッフが、『間違ったツンデレ』感を出したせいでもある。


『ツンだと思ったら、罵倒された』


とは、プレイヤーからの話。

ネット界隈でも、『運営は、ツンデレとは何かをしっかり勉強してこい』とまで言われたらしい。


苦情も多かったせいか、何度かのアップデートの後、コッソリと獣人族の基本台詞が変更されていたのは、今となっては笑い話になっていたりする。

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