171話
橋の警備をしている獣人と、ここを渡ろうとしたくない獣人の仲が悪い理由は、それぞれの種族による相性問題らしい。
この城の周辺に住む獣人族は、主に犬と猫、それと兎と鼠なんだそうだ。
そして、青年達は獅子を頭とした獣人らしく、あまり周囲の一族と仲良くしていないそうだ。
どうやらこの獅子の取り巻き連中が、移住してきてすぐに周辺の獣人族に対して色々やらかしたらしく、蛇蝎の如く嫌われているようだ。
このサイの顔をした青年も、その後ろに隠れている子供達も、煽りを受けているらしい。
まぁ、多少は哀れに思わなくもないが…獅子の子供の様子を見ると、その気持ちも薄らぐと言うか何と言うか…。
ちなみに、何をやらかしたのか聞いた所、『自分達の一族に対して忠誠を誓え、貢物を毎日送れ』との事。
…うん、阿呆かお前らは?
実際、貢物を用意しなかったと激怒して、近くの獣人族の家に押し入ったそうだ。
うん、阿呆だったわ。
それに気付いた七将の一人が彼らを撃退、以降、獅子の獣人族に対して警戒する為に警備員を置くようになったんだそうだ。
この警備している獣人族達は、こちらに従っている人達になる為、ちゃんと給料を支払っている。
他にも、コチラに従う獣人達に農作業や狩猟も請け負ってもらっている。
彼らが住む住居が、城から少し離れた西側になる。
位置としては、滋賀県南部、丁度琵琶湖の南東側になる。
実際の琵琶湖の四分の一程度の大きさの湖から水を引いて水田作りをしながら生活しているそうだ。
そう、この浮遊大陸では、お米が存在する。
当然、米料理も存在する。
勿論、これらを広めたのは初期異邦人達だ。
くっ………これに関しては有り難いんだが、何だろう…納得出来ない。
そしてこの米料理、エルフが主食にしているそうだ。
いや何でだよ?
特に、野菜たっぷりのピラフが流行ってるんだそうだ。
いやホント何でだよ?
美味しいって言うのは認める、うん。
でも、何でピラフ?何、他にもスパゲッティーやオムレツも流行ってる?そんなの聞いて無い!!
まぁ良いんだが…。
米料理が流行っているのだが、お箸はいまいち流行ってないそうだ。
意外な事に、器用なハズのエルフ達も、お箸を使った細かい動作が苦手との事。
ところが、ドワーフ達はお箸を使うのが得意だった。
いやいやいや、何でさ?
君らは大雑把ってイメージだったんだけど?って聞いたら
『鍛冶師や細工師ってのは、指先が器用なのが多いんじゃよ』
と、ガルゴースに言われた。
そう言われれば納得出来るケド…イメージががががが。
ちなみに、ドワーフ達は麦を中心に栽培をしているそうだ。
君ら、そういった事やるんだねって聞いたら
『ビールを造れるからのぉ』
と言われた。
あぁ、そりゃ〜納得だったよ。




