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170話


そんな城の北側に流れる川は、山岳地帯からの湧き水が、ゴウゴウと音を立てている。

その途中から城へと水を引く事で、城周辺の水堀を形成している。


更に、この水を都市内に引き入れる事で、鍛冶作業から薬草園、各自の生活用水にまで使用されている。

あり意味、浮遊大陸中央都市部の命を支えている水になる。


ところが、ココで問題になってくるのが、川の北側に住み着いている獣人族達だ。

彼らも、この水を使用して生活しているのだが、それと同時に排水もこの川へと流している。


そんな事をされては、下流に住む人々にとって迷惑この上ない。

その事を重要視したリリーナが担当となり、何度も川へと排水せず、専用の排水路を作るよう要請していた。


『技術や材料はコチラが持つ』と言う妥協案を、何故か彼らは拒否してきた。

それこそ、リリーナが彼ら北側に住む獣人族を嫌悪する理由の一つだ。


何故、彼らが拒否するのかと言うと、コチラの意見を聞く事で、自分達の不利になる、又は、作業にかこつけて兵士を送り付けてくるのではないかとの疑心暗鬼に囚われているからだ。

勿論、コチラにそんな気は無いのだが、彼らにとっては信じる根拠が無いらしい。


『面倒な連中だな』


そんな彼らだが、コチラとの物々交換はしたいらしく、山から取ってきた果実や、薪としての木々を持ち込む事で、細々とした暮らしをしている。

そんな彼らが行き来をする為の大きな橋が、今から向かう方向にあるらしく、こうして馬を歩かせているのだ。


ちなみに、獣人の青年ベランは、この橋を使わず、川の流れが緩やかな浅瀬を真夜中に泳いて渡ったそうだ。

よくもまぁ、そんな危険な事をするもんだな?


子供達の方はもっとアレで、森の中で集めた木の枝を紐で括り付け、それを筏のようにして渡って来たんだとか。

いや君ら、橋を使えよ、橋を!!


ちなみに、何故橋を使わなかったのかと言うと、出入りの際の身体検査や荷物検査がイヤだったからだとか…いや、何でさ?!って聞いたら


「何を何処で手に入れたのか聞かれるのが嫌だ!!」


と、妹を守ってた獣人の子供が吐き捨てるように言った。

いや、店で買う…この場合は交換か?

兎に角、ちゃんと取引で手に入れたと言えばいいんじゃないのか?


「アイツらは俺等の言う事を信用していない!!」


何か、プルプル震えながら下を向いているけど、そんなに橋の警備員は嫌な連中なのか?

そう思ってリリーナに確認した所、この橋を警備しているのは、橋近くに住む獣人族なんだそうだ。


え?!同じ獣人族なのに嫌なのか?!何でだよ?

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