163話
彼らに聞こえないよう注意しながら『はぁ〜』っと一つため息をつく。
何だか分からないけど、獣人の子供達が必死にベランなる青年に縋り付いている。
いや、俺、死刑判決出してないが?
ってか、出す気も無いが?
「静かに!!マスターの前ですよ」
うんリリーナ、俺の前だからってそんなに強く言わなくても良いんじゃないかな?
ほら、子供達もビビってるし…一人を除いて。
肝心の獣人達を見てみると、中心の青年、彼が子供達の保護者っぽい立ち位置…かな?
何か変な所に角生えてるけど…何の獣人なんだろう?
〜~〜〜〜
少し獣人の話をする…っとは言うものの、ゲーム側での話になるが。
獣人族は、プレイヤーも選択出来るキャラの一つだ。
基本的能力は、人間族よりも素早さが高くなる傾向のキャラだ。
初期に選べる獣人の種類としては、『犬』『猫』『兎』『鹿』の四種類があった。
それぞれ素早さの成長率が高いのは変わらないが、それ以外の成長率は種類によって若干違う。
例えば、犬系を選べば、体力の成長率が十パーセント程上がり易くなる。
猫系を選べば、ただでさえ高い素早さの成長率がプラス十パーセントされる。
っと言うように、それぞれの成長率に、ほんの僅かな違いが出てくる。
さて、今言ったのはプレイヤーキャラとして作成した場合の話だ。
これをリリーナ達と同じNPCのお助けキャラとして作成した場合はどうなるかと言うと、いくつかの変更点があったりする。
まず外見。
人寄りから獣寄りの五段階表示がされる。
これは何かと言うと、その名の通り獣型の獣人か人型の獣人を選択する事が出来る。
人型の方は、よく見る獣人のテンプレらしくケモミミと尻尾が付く。
逆に獣型にすると、外観が完全に獣姿になり、二足歩行する。
外観の違いだけではなく、基礎能力値も変更される。
基礎能力値とは、そのキャラを作った際の最初のデフォルト状態の数値だ。
この値が人型にすると、魔力が高めの数値になり、獣型にすると体力高めの数値になる。
とは言え、僅か一〜二ポイントの違いなので、ゲーム開始時はそこまで気にする必要は無い。
もしも、獣人のNPCで魔法使い系を作ろうとしたら、人型寄りにするのがオススメになる。
別に獣型でも問題は無いのだが、最終的な数値で見ると、魔力値に若干の差がついてしまうからだ。
まぁ、中級の魔法一発分程度の魔力量なので、どうするかはプレイヤーの気分次第だ。
ちなみに、NPCキャラは人型寄りの獣人が多い、特に女性キャラ。
まぁ、気持ちは分かる。
一緒に連れて歩くならカワイイ女の子の方が良いだろう。




