152話
落下後の話でドワーフ達とエルフ達とのすり合わせが続いた。
彼らがあの騒動の後、どうなっていたのか…と。
「なるほど。ドワーフ達もそれぞれの場所で目覚めた…と?」
「あぁ、そうだ。ワシは竈前に倒れておった」
「わしぁ庭じゃったの」
「ワッシは道のど真ん中じゃったが何でじゃ?」
十人のドワーフ達が、それぞれ何処何処で倒れていたと言い合い、ソレが何故かとの話になっていた。
っと言うのも、彼らの記憶では『直前に居た場所から離れた場所で倒れていた』との証言も出た為だ。
「ワシは、丁度剣を作っとる最中だったからな。竈前でも問題は無い」
何故か鼻息荒く話すガルゴース。
それに対して『ぐぬぬっ』と唸る他のドワーフ達。
そこに『そこで悔しがる意味ある?』とのツッコミを心の中でするユウキの三者三様。
それに対してエルフ達はと言うと…
「私は家の裏、薬草園に倒れていました」
「私も薬草園に」
「私も」
エルフ達十人は、全員薬草園だったらしい。
そして全員誇らしげ、何故に?いやいいけど…。
そして、そんなエルフ達に対して『ぐぬぬっ』するドワーフ達、いや、何処に悔しがる所がある?
結局、俺がどんな経緯でこの体になったかの説明だけで結構な時間が過ぎてしまっていた。
ワイワイガヤガヤとやっている皆に対して、手を『パンパン』と叩いて黙らせるリリーナ。
「はい、そこまで。貴方達の事はどうでも良いのです。今必要なのは、今後どうするかです」
「「「ぶっちゃけ過ぎだろ(では)?!」」」
仲の悪いエルフとドワーフだが、ツッコミは息ピッタリ…なんて言っている場合では無い。
ここから先は俺の出番だ。
「マスター、どうぞ」
「…うん」
急に振られて焦ったが、昨日の夜にリリーナ達と『何を話すか』は決めていた。
問題なのは、彼らがコチラの提案も込みで受け入れてくれるかどうかだ。
「さて、改めて言う。俺がユウキだ。前の体とは大分違うから色々と戸惑うかもしれないが、中身は同じだ。なので、そこは大目に見てほしい。後喋り方も」
そこまで言って周りを見るが、全員が何かしら納得した顔をしていた。
あれ?もしかして、気にし過ぎてた?まぁいいか。
「それでは本題に入る」
威厳あるような話し方…をしてみるが、どうにも不格好な気もする。
しかし、これをしないとリリーナが悲しそうな顔をするので、ここはグッと我慢。
「簡潔に話すと…だ、この異世界での我々の態度と進め方、それと、今後目指す所までだ。各自に関しては、それら指針に従って欲しい」
さぁ、ここからが問題だ。
彼らが協力してくれるのか、してくれないのか、それによって変わる。




