14話
「魔力…いや、魔素が無い、魔物もいない…かぁ〜。一体どうなっているのか。いや、そうなるとこの場所って?」
そう言ってリリーナを見ると
「申し訳ありません。私達の居た世界では無い時点で、どの様な場所なのかは分かりません」
っと、悲しい顔を見せてくる。
妻に似た顔でやられると心に来るものが…コレがアレか『止めてくれ誰々、その術は俺にうんぬんかんぬん』って言うネタ。
そんな事を考えていると、不安顔のリリーナと目が合う。
こちらの知りたい事を知っていない、それに対して居た堪れないと言った感じに見える。
『こほん』と一つ咳払いをし、リリーナの方へと顔を向ける。
「いまの浮遊大陸の状態と俺の体の事は分かるかな?」
できるだけプレッシャーを与えないよう、声音を落としてゆっくりと喋る、子供の姿の為イマイチなのだが。
『こんな喋り方、仕事でもした事無かったなぁ〜』などと、薄っすら考えつつも、優しく優しくと頭の中で呟きながら聞く。
「はいマスター、浮遊大陸の状態ですが、全体の三割の海域を消失、残りの七割も大地や海面下の破れ目が発生していて住民から不満が出ているようです」
七割、城と周辺しか残っていないのかと思っていたが、想像よりも多く残っていたようだった。
しかし、大地の破れ目と言うのは…さっき、そこの手摺から見えた下の裂け目の事なのかな?
まぁ、アレが家の前とかにあったら、確かに困るだろうし。
「でも、マスターが目覚められた以上、その問題も解決ですね」
「ん?」
「この浮遊大陸の支配者たるマスターのお力で、直ぐにでも修復をすれば」
「よし、ちょっと待て!!」
とんでもない事を言いだしたよこの娘、修復って…俺に地面の裂け目を引っ付けろと?この細腕で?ただでさえ子供姿になったのに?無理無理無理〜!!
眉間にシワを寄せて『む〜っ』と唸っているユウキに、不安そうな顔を向けるリリーナ。
リリーナにしてみれば、この浮遊大陸を自由に発展させていたのは彼のハズだったからだ。
だが今、目の前で悩んでいる人物は、本気で悩んでいるように見える。
「あの…マスター?」
「そうか、指揮所に行けば何とかなるのか」
急に顔を上げると、先程とは打って変わって元気な表情を見せる。
指揮所と言うが、もしかして『あの場所』の事?
元気になったユウキとは逆に悩み顔へと変わったリリーナ。
そんなリリーナの左手を握ったユウキは、その場で立ち上がる。
「よしリリーナ、指揮所に行こう」
「はい?」
『善は急げと言うし』と言うと、リリーナをグイグイと引っ張りながら、庭園と壁を繋ぐ幅ニメートル程の橋を渡って行く。
困惑顔のリリーナだったが、左手から伝わる手の熱に頬が緩んでしまう。
そのまま引かれるように、城へと向かう通路を歩いて行く二人だった。
〜〜〜〜〜
空中庭園から城へと入ったユウキは思わず固まってしまった。
何しろ、目の前には豪華な大理石の通路が左右へと伸びていたのだからだ。
そこでユウキは気付く。
『そうだよ、ここゲームの中じゃないからローディング画面が出る訳ないじゃないか』
ゲーム内では、マップ内での移動と言えば、各ポイントからのエリアチェンジだ。
最近のゲームは、全体マップと都市部の境界が無いタイプが主流だが、古いゲームになると、それぞれのマップの境界線に、別マップへと移動出来るエフェクトが出ており、そこにキャラを触れさせる事で隣接マップへと移動する。
このキング·オブ·キングオンラインも八年前のゲームと古い為、移動はエリアチェンジ型だったりする。
当然ユウキは、この城の中を移動する際も『勝手に移動する』ものだと思っていた。
それがどうだ、今まで居た空中庭園から歩いて行けば、そこには立派な通路が現れる。
いや、当然と言えば当然の事だ、ここはゲームの世界では無いのだから。
『そうだよ、ココってキング·オブ·キングオンラインの中じゃないし、しかも全く別の世界っぽいし』
「マスター?」
後ろから聞こえて来た声に『ビクリ』と反応してしまった。




