148話
「そうして、制御用クリスタルにマスターが魔力を注ぐと、地面が割れて落下していったのです」
いや待て待て待て!!その事を話していいのかよ?!
彼ら、この浮遊大陸に住んでいる者達にしてみれば、大地を割った挙げ句、何処とも知れない世界に連れてきた原因かもしれない事をアッサリと!!
「まぁ待てって相棒」
ポンポンと俺の肩を叩くエルザだったが、何で君はそんなに落ち着いていられるんだよ?!
浮遊大陸落下の原因を言っちまってんだぞ?俺、吊るし上げられるかも?
「大丈夫だから」
何処が大丈夫になるんだよ?!何?彼らを見ろ?ドワーフとエルフ達を見てどうなるって…
「ウソだろオイ?!何でアイツら全員、涙流して感動してるんだよ?!」
リリーナが、落下のシーンを事細かく説明していると、身を乗り出して聞いていた全員が、何だか感動したかのような顔をしている…いや、何でだよ?!
どう考えても、ココは怒り出す所だろ?
「まさか、ワシらを守る為にそこまでしてくれていたとは」
「うむ、さすが親方じゃ」
「まったくだ」
よし、ちょっと待てドワーフ達!!
今の台詞にツッコむ所がいくつか出てきやがりやがったよコンチクショー!!
何だよ『親方』って!!まさか、俺の呼び方かよ?!
「ぬお?!いかん、つい口が滑って言ってしまった!!」
「おいガルゴース!!」
ドワーフ達が俺の事…勿論『アバターバージョン』の方だが…『親方』呼びしている事が分かった。
何?主呼びは恥ずかしい?だから親方って何だよ!!
「いや、アレだよアレ。親か…主は武器とか防具の製造が上手かっただろ?だから、ワシ等職人にしてみれば、職人集のトップって意味で親方呼びしててじゃな」
「お〜け〜分かった、もういい」
確かに俺のキャラは、職人系トップにまで育てたからな。
武器に関しては、補正付きの作業台や作製成功率上昇アイテム使えば、最高位武具が造れるからな。
作業台は兎も角、作製成功率上昇アイテムが使用出来ないNPC職人から見れば、自分達以上の製品が造れるってだけで敬うって言うのかな?多分。
まぁ、その延長上にあるのが『親方』って呼び方なんだろうけど…いやリリーナ、ドワーフ達を睨み付けない!!俺は怒ってないから。
「マスターを親方呼びするなど、無礼ではありませんか?」
「いや何でさ?!」
全然無礼でも何でも無いよ?
ドワーフ達も、馬鹿にして呼んでる訳じゃないんだから。
「ふむ、そうであれば我々エルフも親方とお呼びした方がよろしいのでしょうか?」
いやいやフェアラス、君らは今まで通りでいいからね?




