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145話

エルフ達を雇った理由も同じだ。


下位の回復薬を作って大量に売りたいのだが、数はやはり人海戦術しかない。

オマケに下位の回復薬なのに、自身で作ると上位並みの回復力になってしまう。


そんなモノ、市場に流せるか〜っとなる訳で、スキルなんてモノが高過ぎるのも問題になる。

そうして雇ったエルフがフェアラスを名乗る訳で…うん、色々とアレだな、世の中は不可思議でア〜ル。


ちなみに、彼らエルフもドワーフと同じように分担作業をさせており、回復薬作製に六人、薬草の採取に二人、護符作製に二人と振り分けている。


回復薬の作業者が多いのは、武器よりも消耗率が高いからだ。

更に護符の作製にも力を入れている。


護符は、魔物からドロップするアイテムである『魔石』から作られてる。

魔石を細かく砕き、特殊な液体に溶かし、溶かして出来た液体で専用の紙に、魔法の術式を書き込む事で出来るアイテムだ。


ドワーフの作るアミュレットとの違いは、護符は安価で使い捨てアイテムなのに対して、アミュレット等は高価で常時発動型になっているからだ。

アミュレットを作る際は、護符と同じく『魔石』を砕き、それを鉄等の素材に練り合わせて、魔法の術式を彫り込んで作る。


こうして見ると、アミュレットの方が護符より売れる商品に思われるが、護符の方が性能が高い為、売上的にはどっちもどっちだったりする。

例えば、魔法を防ぐ術の場合、護符は九十パーセント防ぐ所をアミュレット等の場合、十パーセントしか防いでくれない。


強力な(モンスターと戦う時は護符を大量に使用し、通常のモブモンスターにはアミュレットを使用すると言うのが、一般的なプレイスタイルだったりする。


そうやって少しずつ職人を増やしていった結果、ドワーフの職人が二千人、エルフの職人が二千五百人に達していた。

更に、そんな彼ら彼女らの家族や、職人相手の店舗が増え、城の周りが都市化していった訳だ。


そうして初期に仲間にした彼らに工房を任せて、更に職人を登用して初心者用装備や薬品を大量生産し、その売上で浮遊大陸の維持費を賄うサイクルが出来ていた…今までは。


今回の浮遊大陸落下で、大半の建物が崩壊し、莫大な被害を受けたと言うのは洒落にもならない出来事だ。

更に言えば、何処とも知れない異世界に来てしまった事で、武具や回復薬の販売で稼ぐ方法も使えないとくれば、これからの浮遊大陸の舵取りに支障が出てくると言うものだ。


それらを踏まえて今後どうしていくか…頭が痛くなる事しか無い状況。

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