141話
ジュースを飲み終わると、近くに控えていた獣耳のメイドさんがお代わりを持って来た。
「うん、ありがとう」
「?!」
半分程注いだ所で礼を言ったら、何やらメイドさんに驚かれた、何故?
「マスター、無闇矢鱈とお声掛けされませんように」
後ろからリリーナに、耳元へと小声で注意された。
そういや、あんまり話し掛けるなって言われてたっけ?
「あぁ」と一声掛けて左手を振る。
いやいや、チョット話し掛けるだけでも面倒な事になってるなぁ〜。
思わず出そうになったため息を飲み込む。
「それで…今日は何の話があるんじゃ?」
ドワーフ側のガルゴースが代表で質問してくる。
そういや、俺の体の事もあって色々と説明するって、昨日の夜、リリーナ達とも内容を話し合ったんだった。
「あぁ、それは」
「まず、マスターのお体について私、リリーナ·ドゥーベが説明しましょう。マスター、よろしいですか?」
俺が発言しようとしたら、後ろからリリーナが一歩前に出て来た。
あ~そういや、彼女が『任せて欲しい』と言ってたな〜。
その辺のやり取りを思い出し、リリーナに向かって「あぁ、任せる」と命令する。
うん、やっぱり自分には、この態度は似合わんな。
豪華な椅子の上で背もたれに体重を預けている。
その間にリリーナの話が進むが…長い話だな。
何しろ、この世界に来る原因から説明しなければならないから。
それ以前に彼らは、今いる世界が異世界と気付いていなかったらしい。
リリーナから『今いる世界は別の世界』と聞いて驚いている。
いや、エルフ達は何やら納得したかのように頷いている。
「なるほど、それで精霊達が騒いでいたのですか」
フェアラスの隣にいたエルフがそう呟いていた。
何となく変化には気付いていたらしい…それが何かは分かっていなかったようだが。
ちなみに、彼らエルフの言う『精霊達の騒ぎ』だが、俺が玉座の間で呼び出しした日の事を言っていた。
彼らからすると、森の中でノンビリとしていた精霊達が、急に飛び出して行ったから『何だ?』と思ってたらしい。
…俺のせいじゃねぇかよ!!
額に手を当ててしまった俺の肩に、エルザが手を当ててくる。
チラリとエルザの方を見ると
「どんまい相棒」
右手親指を上げてサムズアップしてくる。
いや、『グッ』じゃねぇんだよ、グッじゃ!!俺のやった事で、エルフ達が混乱してたんじゃねぇかよ!!
「過ぎた事だろ?えっと…何てったっけ?『復讐はボンボンに限る』だったか?」
「…もしかして、『覆水盆に返らず』の事か?」
「そうそう、それ」
それじゃねぇんだよなぁ〜おい!!




