140話
「さて、これでやっと落ち着いて話せると思うんだが…」
中央部分、扉から入って北側、一番奥にある豪華な椅子に座る俺。
そこから見て右側、西側で窓がある方にドワーフ達が、壁側にエルフ達が座っている。
ドワーフ達は最初、誰が何処に座るかで少し揉めたようだが、一番奥、つまり俺に近い所に座ったのはガルゴースだった。
いや、そんなイヤそうな顔せんでも…って思ってたらガルゴースの視線が俺の後ろに?
「リリーナ」
「…」
睨むんじゃない、話し合いの為に呼んだんでしょうが…まったく。
無言で視線を逸らしたリリーナを一瞥すると正面を見る。
ドワーフ達が十人とエルフ達が十人。
エルフ達の方は、ドワーフ達と違い素直に座っていた。
ってか、ボソボソと微妙に聞こえる話から、ちゃんと序列順で座っていたようだ。
当然ながら、俺に近い所に座っているのはフェアラスだ。
やっぱ偉い人だったんだな〜うん。
静かになった室内に、飲み物の乗ったワゴンを押して八人の女性が入って来た。
おぉ〜メイドさんだよ、すっげぇ〜マジかよ。
思わず見とれてしまって『んん!』っとリリーナに咳払いされてしまった。
やべぇ、殺気じゃないケド、何か訳の分からんモノが突き刺さってる感覚?
それにしてもこの城、メイドさんっていたんだね。
「私達だけでは、城の維持管理に支障が出てしまいますから。住民の中から役立ちそうな者達を雇入れています」
へぇ〜、そうだったのか。
いやまぁこの城、ゲーム的には一番小型だけど、それでも現実になると、それなりに広いからね。
ちなみに、現在何人雇っているのか聞いてみたら、メイドとして獣人が五人にエルフが三人、料理人としてドワーフ、エルフ、獣人が一人づつ、庭師としてドワーフが一人の合計十ニ人だそうだ。
メイドは、当然ながら全員女性で、料理人と庭師は男性だ。
「いや、いくら小さい城と言っても少な過ぎない?」
「そうですね。これを機会に人員を補充しますか…」
リリーナが顎に手を当てて考え込みだした。
やっぱり少ないと思ってたんだね。
エルザとリリーナを除いた全員の席に飲み物が置かれたが…よし、チョット待て、言いたい事が出来た。
何で俺のコップの中身が『オレンジジュース』なんだよ?
「絞りたてで新鮮ですよ?」
「うるさいリリーナ、そういう問題じゃないんだよ!!あと、ナチュラルに俺の心の中を読むな!!」
小声で怒りながらコップの中身をひと息に飲み干す。
「おぉ〜、良い飲みっぷりだね〜相棒」
ニヤニヤしながらからかってくるエルザ。
うるさいよ君も!!
まぁ、ジュースは旨かったから別に良いが。




