136話
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翌日の早朝、衣擦れの音と共に起こされた…ってか、また君らは一緒のベッドに入っていたのかよ?いつの間に…。
「おはようございますマスター」
「………あぁ、おはよう」
朝日が窓から差し込み、その光で映し出されるリリーナとエルザ…いや、二人とも寝間着を着てるからね?
しかし、この部屋で寝起きするのも三日目…いや、魔力消費で寝込んだ日も入れれば四日目か?まぁ、慣れた…ような気はする…が、ソレとコレとは別だ。
「リリーナ、昨日、俺は部屋の鍵を閉めて寝たハズなんだが?」
「はいマスター、その認識は間違っていません」
いやいや違う、そうじゃないんだ。
思わず額に手を当てて天井…いや、ココ豪華なベッドの上だから、天蓋を見上げてため息を一つ吐く。
俺が言いたいのは、『昨日、部屋に鍵を掛けて、一人で寝たハズなのに、何で君達が居るのか』って事なんだが…。
「鍵を開けて入っただけですよ?」
よし、ちょっとオハナシしたい事が出来たよオイ!!
「朝食の準備でしたらもう出来てますよ?」
既に俺の発言は無視されている模様…解せぬ。
「朝っぱらから何騒いでるかと思ったら、何くだらん事で」
「おいエルザ、くだらなくはないぞ?重要な事だぞ?」
部屋に備え付けられたテーブルの上の朝食に舌鼓を打ちながら文句を言う俺。
それを『くだらん』と一蹴するエルザ。
「はいはい、二人ともお喋りはそこまで。今日は客がくるんですからね?」
昨日の夜辺りから、リリーナの態度が大きく変わった気がする。
何ていうか…柔らかくなった?イヤ違うな、コレはえっと…アレだアレ…
「うるせぇな、お前はワタシの母親か?」
そうそれだ!!母親!!まさにそれ!!世話焼き過ぎてて『早く片付けしなさい』と怒る母親だ。
「ふう、私が貴女の母親だったら、もっと厳しく躾ける所です。こんな『がさつ』な娘なんて、恥ずかしくて外に出せないわ」
「んだとてめぇ!!」
「ほらほら、そういう所がダメなんですよ?」
うわ〜、メッチャ煽りよる。
何だろう、ストレスでも溜まってるなかな?だったら少しお休みでも与えて…
「そもそも、マスターの左側に寝るのは私の役目のハズ!!何故、貴女がソコに陣取ったのか分からないわ!!」
あぁ違った、寝る位置でのお怒りだったよ…ってか君ら、自分達の部屋で寝ろよ!!そうすりゃこんな醜い争い起きないだろ?
「一昨日まではその位置を譲ったんだ、問題無いだろ?」
「問題しか無いわ!!」
うん、ダメだ。
俺の声は一切届かないようだよ。
取り敢えず、眼の前の朝食に集中しよう…うん。




