135話
そそこそこ区切りの良い所で視察は終了となった…ってか
「視察だったのコレ?」
「今更かよ相棒?!」
エルザが呆れた顔を向けて来たが、俺は散歩のつもりだったんだ。
「いつの間に…」
「あのな〜相棒、視察じゃなければアイツが許可する訳無ぇだろ?」
そう言うと、親指を立ててリリーナの方を指差す。
肝心のリリーナは、やけにニコニコとした笑顔を向けてくる。
「マスターの治める場を確認する事は、今後に関わって来ますし」
お、おう…凄いヤル気だねぇ〜うん。
でも一つ修正、俺の治める場ってのは…いや、何でもないのでコッチを睨まないで下さいお願いします。
言葉を発しなくても内容を察するリリーナ…優秀過ぎないかな?その優秀さを使って浮遊大陸を治めてくれないかな?かなり本気で。
まぁ、無理だろう事は分かっていたので、無言を貫くよ。
沈黙は金、雄弁は銀って言うし…うん、何か違うけどヨシ。
それにしても、周囲の惨状を見て思った事がある。
彼らの建物、地震に弱過ぎだ。
いや、造りからして地震…っていうか振動?に弱い。
そもそもドワーフ達の建物は、全て石を積み上げただけの代物だ。
一応、崩れ防止の為の柱や梁があるが、殆ど意味が無い。
いやまぁ、この浮遊大陸で地震が発生する事は本来無いんだが、今回のように落下する可能性を考えたら…何とかしないといけないな。
う〜ん、さて、どうするべきか…そう言えば、本物の日本での地震対策って何だったっけ?
〜〜〜〜〜
う〜んう〜んと唸るユウキの姿に、リリーナとエルザは顔を見合わせる。
さっきまでと違い、何かしら考えている事は分かる…のだが、一体何を考えているのかか予想出来ない。
今までの会話で、何か考え込まなければならない事があったのか?
そうリリーナが思っていると
「リリーナ、いくつか聞きたいんだけど?」
「?!はいマスター、何でしょうか?」
唐突だった為、少し返答が遅れてしまったが、ユウキに気付いた様子は無かった。
「ドワーフ達の建物の再建はいつ頃始めるのか分かる?」
これは予想していなかった質問だ。
ドワーフ達が再建しようとしている事は知っていたが、その事をユウキが聞いてくるとは思ってもみなかった。
「申し訳ありません。いつ始めるのかは分かりかねます」
「ふ〜ん、そっかぁ〜。っとなると…」
顎に手を当てて考え込むユウキ。
今まで見て来た事と何の関係があるのか?一体何をお考えなのか?リリーナは必死に考える。
「ふむ、そう言えば、明日、ドワーフ達…だけじゃなく、エルフ達も城に来るんだったよね?」
「はい、その通りです」
もはや、色々考えるよりも先に、ユウキの質問が来るようだ…と、思考を切り替え、来た質問に全力で答えようと身構える。
そんなリリーナに言った言葉が…
「ドワーフ達やエルフ達の建物に関して、国庫からの予算配分と同時に、建築方法の変更をしたいんだ。出来るかな?」
どうやら、リリーナの予想以上の事を考えていたようだ。
それに対する返答を返す事が出来なかった。




