134話
「船に乗りたいのですか?それならコチラで手配いたしますが」
「いやリリーナ、違う、そうじゃないんだ」
俺が見たいのは自然体の船であって、用意されたモノじゃない、それに乗りたい訳でも無い。
どうにもその辺が伝わっていない気がする…。
「まぁいいじゃねぇか。船は兎も角として、港町まで行くんなら馬車なり馬なり準備すりゃ〜いいんだし」
エルザの声に、頬に手を当てて考え込んでいたリリーナが顔を下げてコッチを見てくる。
あ〜コレは俺の指示待ちなんだなぁ〜っと、少しは分かるようになったきた。
で結局、後日、浮遊大陸内でのゴタゴタ騒ぎが収束したら港町に行っても良い事となった。
「警備の兵を雇わないと」
「いや待て!!」
リリーナに任せると、下手に大騒ぎになりそうな予感?何か『大名行列』みたいな感じで、ゾロゾロと大量の人で練り歩くような…うわぁ、それはちょっと…。
「俺は目立たないように行きいんだ」
「なるほど、御忍びで視察する訳ですね?分かりました」
分かってない、分かってないよこの娘?!
「いいじゃねぇか相棒、どうせ当分は無理なんだから、そん時が来たらコッソリ出りゃいいんだよ」
「おぉ〜なるほど、その手があったか」
「その手がじゃありませんマスター!!エルザ、貴女も変な事を吹き込まない!!」
周囲を見ながらエルザと他愛もない話をしていると、リリーナからのツッコミが来た。
いや、別に本当に実行するとは思って無いんだが…すると思われてるんだろうか?
結局、港町まで行く事は断念し、街中を城から三区画分程歩いた。
いやはや、驚く程ボロボロにされてて驚いた。
城から真っ直ぐ南下して来た事になるが、道を挟んだ西側は全て全壊、土台部分が僅かに残ってるお陰で、そこに建物があったんだな〜っと分かるレベルだ。
そして東側、コチラも道沿いの建物は全壊、道から離れた所に、僅かながら半壊状態の建物が見える程度。
うん…何て言うか…俺の良心が痛む…あるのならって所だけど。
「マスター、そのような顔をなされなくても大丈夫です」
リリーナが妙な事を言う。
なんだよ顔って?俺の顔が変だってのか?
「はぁ〜、おい相棒、色々と顔に出てるぞ。気にしてますってな」
エルザに言われて思わず両頬を手でムニムニとマッサージしてしまう。
その姿が面白かったのか、エルザが大笑いしている。
その横では、リリーナも笑いを堪えている。
そんなに面白かったか?面白かったのか?
ってか俺、そんな顔してたのか?
いやいいよ、もういっそ笑ってくれよコンチクショー。




