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133話

ユウキにとってランダムイベントによる『食料生産量低減』は、浮遊大陸に大ダメージを与える代物だ。


何しろ、このイベントが発生すると、一から十パーセントの間で食料生産量が下がる。

しかもコレ、その月だけでは無く、継続になる。

つまり一度低下すると、新たに田畑を作らないといけない。


浮遊大陸の場合、食料生産量は丁度百パーセントだ。

それがもし、最大の十パーセント下がれば、生産量は九十パーセント。

運悪く次の月も生産量が下がるイベントが発生すれば、たった二ヶ月で八十パーセントになってしまう。


そんな状況が続くと、領地内の住民の不満が溜まり、徐々に人口が減ってしまう。

人が減れば生産量も減り、生産量が減れば税収も下がる、負の連鎖に繋がってしまう。


そんな状況を防ぐには、備蓄食料を放出しなければならず、結果、浮遊大陸では外部の他プレイヤーから、武器や防具を販売する代わりに食料を仕入れていた訳だ。

ゲームとは言え、変な所がシビアなキング·オブ·キングオンラインのこのシステムは、玄人受けが良かった。


さて、話が諄い上に色々飛んだが、何を言いたいかと言うと、この浮遊大陸は、大量の食料を輸入していたって事だ。

輸入するにしても、ゲームのクセに、運搬する方法により輸入量が上下するシステムになっていた。


平原だらけの領土を持っていれば、運搬用の馬車を大量に持っていなければならない。

一樽百キロと設定されている物品を馬車の大きさによって何個積めるかと積載量が設定されている。


では海がメインの領地はと言うと、船による運搬となる訳だ。

そして、船の大きさによる積載量、これが馬鹿に出来ない。


小型の舟では、樽が一つしか積めないが、中型船で千個、大型船ではなんと一万五千個積めるようになる。

ちなみに何故か、リアルな船舶での積荷重量制限はココには適用されないらしい…なんでさ?

変な所は現実的な法則を適用するクセに、こんな所は『ファンタジー』で済ませる運営…。


さて、その大型船が城から南にある港町に停泊している…ハズなのだ。

リアルの日本地図で言うと、名古屋港の位置に当たる。

ゲームでは城を出て、南側に四マップ程度移動すると港町に到着する。


『浮遊大陸が現実になったんだ。あの大型船をひと目見ないと』


キング·オブ·キングオンライン上では、港町にまで発展させると巨大な埠頭が出来、そこに大型船が停泊している。

近くまで行く事は出来るが、乗る事は出来ない。


いや、出来ない訳では無いが、船の中央付近にいる船員に話しかけると『乗船されますか?』と聞かれ、ここで『はい』を選択すると、行き先が表示される。

行き先をクリックすると画面が暗転し、目的地に到着するシステムだ。


つまり、船に乗って揺られるシチュエーションは一切無い。

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