119話
部屋に備え付けてあるクローゼットから服を出しては『ああでもない、こうでもない』とやっているリリーナ。
そんなリリーナの今日の姿は、当然ながら服を着ている、うん、当たり前。
寝起きの真っ裸がオカシかっただけで、これが普通、うん、普通万歳。
そのリリーナは、薄黄色のワンピースを着ていた。
正面から見ると、ごく普通に見えるワンピース。
肩袖は無く、肩口には小さな赤いリボンのような飾りが付いている。
腰の辺りも、帯のような物で締め付けてあり、何て言うか…凄い似合っている。
スカート部分の丈は長く、足首近くまである。
ただ、足元はしっかり見えているので、歩き難くは無いようだ。
足に履いているのは、靴では無くサンダルのような物だ。
革製…のような感じ?よく分からない。
うん、こうして見ると普通だね…っと思ってたのが悪かった。
「あっちの方が良かったかしら?」と言って背中をコッチに向けると、その背中がバックリと空いていた。
あ、アレだよアレ、背中の空いたワンピースってヤツだよ。
思わず目を反らしてしまったが、この不意打ちは止めて欲しい。
いや、背中の肩甲骨辺りから翼が出ているから、こういう服じゃないとダメだってのは分かるが…心臓に悪い。
そんな感じで『ドギマギ』しているユウキの右側に居たエルザはと言うと…こちらは、普通から普通と言う言葉を超えている服装だった。
リリーナがワンピース、エルザは…アラビアンな服だった…いや、世界観は?世界観何処?
しかも、女性用じゃなくて男性用…何でさ?!
上に何も羽織ってなく、胸をサラシのような布で隠しているだけ…いや、せめて上着を着てくれないか?
両手首に金色の輪っかを付けていて、それは似合っている…うん。
ズボンは白い生地で太もも部分がふっくらとしている。
腰の部分には、リリーナと同じように帯のような物を巻いている。
足首部分もカラフルな紐で縛っており、全体的にもゆったりとした感じになっていた。
履いているのは、これもリリーナと同じサンダル。
何ていうか…日焼けした肌に似合っている姿だと思う。
千日一夜物語とかで出てくる人物だよコレ?
でも『そこは男性用じゃなくて女性用でも良かったんじゃ?』と聞いたら『コッチの方が楽なんだよ。後…サイズが…な』と言われた。
『あっ…(察し)』
エルザは、背が高い上に筋肉質だ。
だからと言って女性らしくない訳じゃない。
女性らしい柔らかさと力強さを持った感じと言えば良いのかな?
「いや、えっと…その服、似合ってるぞ?」
一応フォローをしたんだが…何故かリリーナに抓られた、何でだよ?
「私は褒められてませんわ?」
「えぇぇー?!」
その後、必死にリリーナを褒めちぎる事となった。
ちなみに、不意打ちで褒められたエルザはと言うと、部屋の隅で真っ赤な顔をして照れていた。
『うん、コレは見て見ぬフリだな』
オレ、空気読ム。




