118話
異世界での『また何かやっちゃいましたか?』的な事が出来ない件は、渋々置いとくとして…これからどうするか…だ。
「マスター、本当に行かれるのですか?」
そう聞いてきたのは、ユウキの着替を手伝うリリーナだ。
ユウキ自身は、自分でやれると言って断っていたのだが、リリーナが泣きそうな顔をするので、仕方がなくやらせている。
ちなみに、着せる服のデザインもリリーナ任せだ。
異世界で、どんな服を着たらいいかなんて分からない。
かと言って、ジャージ姿でウロウロするのもアレなので、仕方がない。
ジャージに関しては、向こうの世界との繋がりを確かめる代物でもあるので、一応部屋着用として大事にしている。
出来れば、似たような服を作れないものかと考え中。
それで、着替をして何処に行こうとしているかと言うと…
「勿論、街に行くよ。この目でちゃんと確認しないといけないからね」
「ですが、何もマスター自ら行かなくても、報告書で事足りるかと」
この、よく分からない異世界に浮遊大陸が現れて六日目。
城の前の大通りに建っていた建物の瓦礫撤去も一段落したと聞いた。
それならと、一度街中の視察をしたいとお願いしたのだが、昨日までは何故か止められていた。
リリーナ曰く『まだ、城下は混乱しているから』との話だったが、コッソリと部屋を抜け出してテラスから確認したら、道にまで溢れていた瓦礫が、綺麗サッパリ無くなっていた。
その事を問い詰めると、渋々復旧作業が進んでいる事を認めたので、視察に行く事をお願いした。
かなり粘って、リリーナとエルザの護衛付きでやっと許可が下りた。
そして現在、着せ替え人形にされているのであった。
いや、何でさ?
「浮遊大陸の主が出られるのです。身綺麗にされるのは当たり前ではありませんか?」
「そうなの?」
「そうなのですよ」
リリーナにメッチャ熱演されてしまった。
リリーナ的には『王たる者は、その身に合った姿を国民に見せなければならない』らしい。
いや、俺は王じゃないんだけど?
「何を仰るのです。マスター以外の誰が浮遊大陸の王になると言うのです?」
「いや、えっと…リリーナがなってもいいんじゃないかな?他にも探せばいると思うし」
「そんな者はいません!!」
「えぇぇ…」
何を根拠にそこまで盲目的なのかと聞きたいけど、今の俺にはココ以外に行く場所が無い。
納得はいかないが、出来るだけ立場を理解しておく…つもり?
ところで、そのカボチャパンツのようなズボンは何?え、『オー・ド・ショース』?貴族服の一つ?是非穿いてくれって?イヤだよ!!




