105話
仕方がないので寝る…のは後ほど。
今はまだ、他の事もある。
「では、領内の被害状況を」
そうそう、そういうのでいいんだよ。
これには、心の中のゴ○ーちゃんもニッコリ…しないな、うん。
そんなフザケた事を考えてたからか、バチが当たったみたいだ。
王都周辺の被害状況がヒド過ぎた。
建物の八割が損壊って何?どういう事?
詳しく聞いたら、まぁ…海外の人々によくある話…って言うべきかな?
地震大国って言われる日本では、大半の建物が建築基準を元に作られており、土台も柱もしっかりとした作りになっている。
ところが、この浮遊大陸の建物は違う。
所謂『地震の無い国々』の設計と同じで、柱は地面に数メートル程しか埋まっておらず、寧ろ、ちゃんと埋めてあるだけマシなレベルだ。
特に、ドワーフ達の居住は石を積んだ代物だ。
とは言え、そこはドワーフ、ただ積んだだけでは無い。
それぞれ形が不揃いなハズの石が、互いに『その形であったか』のような、不思議な組み合わせで積み重なっている。
表面こそ凸凹だが、それぞれにの組み合わせ面は、ピッタリと隙間の無い作りとなっていた。
しかし、現代の建物のように石膏を使っている訳では無い。
本当に組み合わせただけの作りだ。
言ってみれば、それぞれ形の違うパズルのピースのような物だ。
それを合わせ、全体を形作っていた。
石の自重だけで支えているような建物が、落下時の大きな振動に耐えられるはずも無く、壊れてしまった…っと言うのが真相『らしい』。
らしいと言ってしまったのは、エルフ側の居住区の被害を聞いたからだ。
中央の大通り、現代日本の地図で言うと、岐阜県中央から愛知県にある名古屋港付近まで真っ直ぐの道がそれに当たるのだが、その大通りを挟んで西側にドワーフの居住区、東側にエルフの居住区が建っていた。
西側のドワーフの居住区は、今説明した通り、石で作られた建物だ。
多少、色合いの違う石で組んでいる為、石造りの割にはカラフルな外観をしている。
それに対して大通りの東側、エルフ達の住む居住区は、ドワーフ達と対照的に木材一色だ。
横に太い木が一本立ち、その根本…っと言うより、まるで四本足の獣が立ってるように見える。
イメージ的には、熱帯地方のマングローブの木のような感じだ。
四本の大きな根が、四隅の柱のように地面に刺さり、その空いた空間に床や壁を張っていた。
壁や床を固定しているのは、木を削り出して作った木釘だ。
鉄製品を出来るだけ使わないようにしながらも、独自の家造りをしていた。
このエルフ側の建物に関しては、落下時の被害は殆ど無かったのだが…その後の『ある原因』から、ほぼ全ての建物が二次災害によって消失してしまったのだった。
その二次災害とは、ドワーフ達の居住区から、広範囲に渡って発生した火災だった。




